2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14530157
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
加藤 志津子 明治大学, 経営学部, 教授 (30202013)
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Keywords | 旧ソ連 / 中東欧 / 企業 |
Research Abstract |
ロシアとの比較においてポーランドの市場経済移行を概観し、ポーランドの移行が、ロシアのそれより順調である原因として、外資導入と政治状況を指摘できることを明らかにした。 とくに外資導入にかんしては次のことが言える。 ポーランドは中東欧最大の投資受入国であり、対ポーランド投資額の国別内訳上位はドイツ、アメリカ合衆国、フランス、イタリア、イギリス、オランダであり、EU諸国中心である。このような外資導入がポーランドの競争力強化の直接的原因となっていることは明らかである。なぜなら、1997年の製造業における投資総額に占める外国企業の比率は56%に達しており、それら外国企業は1999年にポーランドの輸出総額の約50%を占めているからである。 そのような外国企業の積極的進出の背景にあるのは、ポーランドの企業・投資環境にたいする高い国際的評価である。すなわち、所有権が確立されていること、汚職問題と取り組むための真剣な努力が行われていることが認められている。 そして、外国直接投資はそれ自体、企業のリストラクチャリングやコーポレート・ガバナンスの改善に好影響を与え、競争力をさらに高めていると考えられる。そのほかにも、企業破産手続きの遅滞、「ソフトな予算制約」といった社会主義時代の遺産に関係する問題がなお残ってはいるが、ロシアに見られるような経済の全体的な「レント・シーキング」化は起こっておらず、そのことがまた外国投資を呼び込み、さらにそれが社会主義代の悪しき遺産を減らしていく、という好循環が成立している。
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