2002 Fiscal Year Annual Research Report
正標数の特異点上のブローアップ代数の環論的性質について
Project/Area Number |
14540020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 健一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (80240802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 敬一 日本大学, 文理学部, 教授 (10087083)
橋本 光靖 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10208465)
岡田 聡一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (20224016)
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Keywords | F正則性 / F有理性 / 密着閉包 / フロベニウス写像 / ブローアップ / Ress環 / 重複度 |
Research Abstract |
正標数の可換環論は、標数0の正標数の還元の手法を通して、代数幾何学と深く結びついている。実際、HochsterとHunekeにより定義されたtight closure(密着閉包)の概念は、フロベニウス写像を用いて定義されるが、この概念は正標数の可換環論において本質的な役割を果たしている。研究代表者は東北大学の原伸生氏との共同研究を通じて、密着閉包の概念を一般化した。これが今年度の本質的な成果である。一般化された密着閉包から自然に構成されるテストイデアルの概念は、最近の特異点論で重要な概念のひとつである、乗数イデアル(multiplier ideal)の正標数での類似物と考えることができることも示した。上記の成果は、国内の可換環論シンポジウムなどで成果発表を行った。 ブローアップ代数の可換環論における研究は、国内では特に盛んであるが、特異点論的観点からの研究成果はあまり知られていないようである。研究代表者と渡辺分担者は、その点を重視して、ブローアップ代数のF有理性、F正則性の研究を行った。その成果として、F有理性の判定法を与え、F有理ブローアップ代数の豊富な例を提供することができた。一つの応用として、標数0では成立することが知られている、ブトー型定理の反例を容易に構成することができるようになった。一方、東北大学の原伸生氏との共同研究を通じて、ブローアップ代数のF正則型の判定法を提供することにも成功した。これ5の研究成果はこの方向での研究の出発点にすぎず、次年度以降も継続して研究を続ける必要がある。また、この研究成果は本年度バークレーで開催された国際ワークショップにて成果発表を行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N.Hara, K.-i.Watanabe, K.Yoshida: "F-rationality of Rees algebras"J.Algebra. 247. 153-190 (2002)
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[Publications] N.Hara, K-i.Watanabe, K.Yoshida: "Rees algebras of F-regular type"J.Algebra. 247. 191-218 (2002)
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[Publications] N.Hara, K.Yoshida: "A generalization of tight closure and multiplier ideals"Trans.Amer.Math.Soc.. (in press).