2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540094
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐久間 一浩 近畿大学, 理工学部, 助教授 (80270362)
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Keywords | 安定写像 / モラン型特異点 / トム多項式 / 自己交叉類 / ポントリャーギン類 / 折り目写像 / モラン写像 / 局所系 |
Research Abstract |
モラン型特異点(Morin singularity)のみを許容するn次元閉多様体からp次元ユークリッド空間への無限回微分可能写像が存在するとき,その写像の特異点集合は,定義域多様体の部分多様体となる.n-p+1≧2kのとき,特異点集合を摂動して,自分自身と横断的に交わるように取り,その共通部分のホモロジー類のポアンカレ双対を取ることにより,特異点集合の自己交叉コホモロジー類(self-intersection cohomology class)が定義できる.特異点集合が向き付け不可能な場合は,コホモロジー群の係数群を局所系(local system)でとる必要があることに注意しなければならない.このとき,こうして定義されるコホモロジー類が定義域多様体の接束の特性類によって表されるかどうかを調べることは,R.Thomによって1950年代に定義された,いわゆる「Thom多項式」(Thom polynomial)の概念の精密化に当たり,特に重要である.本研究のでは,この自己交叉コホモロジー類が定義域多様体のポントリャーギン類に一致するという基本的結果が得られた.この結果から,ある場合に具体的に与えた定義域多様体上に折り目写像が存在するための必要条件をコホモロジー類の等式で記述できる.その応用として,例えば,4次元複素射影空間から7次元ユークリッド空間への折り目写像が存在しないことが分かる.これはThom多項式の計算からは導出できない結果である.この意味からも我々の結果は,Thom多項式の精密化にあたると言える.これは研究代表者の以前の研究であるホップ不変量1の元の非存在問題との関連から興味ある問題で,値域次元が3と7の場合が特に興味深いが7次元の場合には我々の結果で分かった.3次元の場合は,我々の結果では何も言うことができない.最近,アメリカのサディコフ(フロリダ大)が3次元の折り目写像の存在問題を完全に解決した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ohmoto, Saeki, Sakuma: "Self-intersection class for singularities"Transactions American Mathematical Society. 355. 3825-3838 (2003)
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[Publications] 佐伯脩, 佐久間一浩訳: "複素超曲面特異点(ジョン・ミルナー著)"シュプリンガー・フェアラーク東京. 221 (2003)