Research Abstract |
研究実施計画の役割分担に従って,下記の研究成果を得た. (1)研究代表者は,目標集合をもつ非割引型のマルコフ決定過程におけるリスク最小化問題を考え,再帰類をもつ無限期間問題として定式化した.最適値関数が最適方程式の一意な解であり,定常な最適政策が存在することを示した.また,値反復法と政策改良法を与えた.また,割引型のマルコフ決定過程において,閾値確率の最大化・最小化に関する8個の問題を考えた.これらが2つの同値類に分類されることを示し,各同値類での最適値・最適政策の関係を与えた.特に,第2の同値類に対して,双対問題の議論を用いて,最適値の特徴付けを与え,最適政策の存在に対する十分条件を与えた.最後に2つの同値類の間の最適値の関係を与えた.これらの成果は論文としてまとめ,発表した. (2)安田正實は,距離空間における弱零加法的ファジィ測度が正規性を持つことを示した.また,それらを用いて,ルージンの定理をファジィ測度に一般化し,ファジィ測度に対するエゴロフの定理を与えた.この成果は論文としてまとめ,発表した. (3)岩本誠一は,動的計画法を通して,前向き再帰評価を持つ有限期間確率最適化問題を解いた.前向き再帰評価は幅広く,加法型,乗法型,最小型,終端型を含む.基本的なアイデアは確率最適化問題に不変埋め込み法を適用したことである.この成果は論文としてまとめ,発表した. (4)新関章三は,位相空間に有限交叉族の考えを導入し,位相空間のいくつかの概念を特徴付けた.さらに,この有限交叉族の応用として,無限直積に関するチコノフと有限交叉族との関係を,極大フィルターと極大有限交叉族を定式化して明らかにした.この成果は論文としてまとめ,発表した. (5)野間口謙太郎は,不完全データに関する最尤推定を求める際,標準的になっている手法にEMアルゴリズムがあるが,その収束に関してはWu(1983年)の論文の条件がよく知られている.しかし,この論文で,その条件に不備があることを示し,実際に条件を満たすが収束しない例を構成した.
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