2005 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム媒質中のランダムウォークに関する大域的性質
Project/Area Number |
14540126
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
濱名 裕治 熊本大学, 理学部, 教授 (00243923)
|
Keywords | ランダムウォーク / ピン留めランダムウォーク / 大偏差原理 / ランダム媒質 / 多重点 |
Research Abstract |
本研究において核になることは,ランダムウォークの多重点の個数に関する大偏差原理を確立することである.その第一段階として訪問点の個数に関する大偏差原理が部分的ではあるが本質的に確立されている.しかし,自由エネルギー関数あるいはエントロピー関数は具体的に求められていない.それを求めるために,ピン留めランダムウォークの訪問点の個数に関して大偏差原理を考えるに至った.一昨年度の研究ではピン留めは本質的には大偏差原理には影響しないことがわかり,昨年度論文を執筆,完成し学術雑誌に投稿したが,本年度になって改訂稿の掲載が決定した. その研究の過程で3次元の場合だけが,ピン留めした場合としない場合で,平均値の第二項の漸近挙動が異なることがわかっていたが,それが有界であるが昨年度の研究で得られ,本年度になってから論文を執筆し,完成原稿が査読つきの学術雑誌に掲載されることが決まっている. また,ランダムウォークの多重点の個数についての自由エネルギー関数の存在については,訪問点の個数の場合と比較して本質的に異なる性質を持つため,すぐには解決できないのであるが,本研究で肯定的に解決できると確信することができた.しかし,自由エネルギー関数の原点での挙動も大偏差原理を解決するための重要な情報であり,それにはまだ手付かずである. さらに,訪問点の個数に関するエントロピー関数の決定に尽力したが,満足いく結果は得られず,したがって多重点の個数の場合とあわせて今後の課題とせざるを得なくなった.
|
Research Products
(1 results)