2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540167
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
下村 宏彰 高知大学, 教育学部, 教授 (20092827)
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Keywords | 多様体 / 微分同相写像群 / 制限直積 / ユニタリ表現 / 同値性 / 既約性 / 既約分解 |
Research Abstract |
本年度も引き続き、滑らかな多様体M上の微分同相写像の作る群の表現について考えた。このような写像のうち、supportがcompactであるものの全体をDiff_0(M)と記す。この群はもとの多様体Mの情報を沢山もっており、また量子力学との密接な関係をもつため、その表現を調べることは意義あること思われる。事実、いままでに様々な群の既約表現が構成されてきた。 本研究では、これらと本質的に異なる(同値でない)無限次元表現を、無限大のmassをもったM上の滑らかな測度μの無限制限直積を用いて構成することに成功した。より正確に述べると以下のようになる; E:={E_n}をMのBorel setの可算族で次の3つの性質をもつものとする(Eをμ-unitalという)。 (1)0<μ(E_n)<+∞ (2)Σ|1-μ(E_n)|<+∞ (3)E_nは互いに素。 このμ-unital Eを用いると、M^∞上に制限直積測度ν_Eがまず構成できる。つぎに、自然数上の有限個を置換する無限対称群の既約ユニタリ表現Πをひとつとり、M^∞上の可測関数fで次の性質を持つものを考える。 (1)f(xσ)=Π(σ)^<-1>f(x) (2)f(x)はD_E上2乗可積分、ただしD_EはσでD_Eを動かして得られた集合が互いに素で、その和集合がν_Eに関してfull measureとなるBorel集合である。このようなfの全体をH(Σ)として、ここへDiff_<0(>(M)が対角的作用するL^2上の自然表現を持ち込む(ただし、Σ=(E,Π))。すると、ユニタリ表現(T(g),H(Σ)),g∈Diff_<0(>(M)ができる。この表現に関する主要な結果はつぎの通りである; [1]ユニタリ表現(T(g),H(Σ))は既約である。 [2]Σ=(E,Π)とΣ=(E',Π')に関する2つの表現がユニタリ同値であるための必要十分条件は ある置換aが存在してΠとΠ'をaで共役形になおしたものが同値、かつΣ|μ(E'_<a(n)>-μ(E_n)|<+∞となること。 これらの成果は2003年,ドイツにて行われた日独-symposiumにおいて報告された。また、それらはproceedingsの一部として発表される予定である。 さらに、もう一つの主要な成果は、群Diff_0(M)のほとんどの連続ユニタリ表現が既約分解可能であるとわかったことである。この検証は、一般の局所コンパクト群の連続ユニタリ表現の既約分解性を主張するMautnerの証明を分析し、それに微分同相写像の群上のShavgulidze measureを援用すれば得られる。これらもいずれしかるべき所に発する予定である。
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Research Products
(1 results)