2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540187
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡沢 登 東京理科大学, 理学部第1部, 教授 (80120179)
|
Keywords | 複素ギンツブルク・ランダウ方程式 / 初期値境界値問題 / 負の指数のソボレフ空間 / 縮小写像の原理 / 単調性の方法 / 作用素の超幾何関数 / 右非負作用素 / 作用素の分数ベキと対数 |
Research Abstract |
複素Ginzburg-Landau(CGL)方程式については初期値を超関数(負の指数のSobolev空間の要素)に取った問題の大域解の構成について成果が出始めたところである.そのアイデアの概略は,まず縮小写像の原理で局所解を作り[この部分はLevemore-Oliver(1997)による],それを単調性の方法[Okazawa-Yokota(2002)裏面の項目11参照]で大域解に接続するというものである.この問題は形式的にはDirac測度を初期値に取った問題の一般化になっている.Dirac測度の初期値について非線形熱(NLH)方程式では既に20年前に超関数解が存在するための非線形項のベキに対する必要十分条件が知られている[Brezis-Friedman(1983)].方程式としては(CGL)の特別な場合になる(NLH)に対する上述の結果を含む形の完全な解決までには,まだかなり時間がかかりそうであるが,1次元のトーラス(円周)上の問題(初期値周期境界値問題)と有限区間上のDirichlet問題については,単調性の方法だけに頼っていたのでは欠かすことのできない非線形項の複素係数についての制限が不要なことまで示せている. 作用素の超幾何関数については既に得られていた大枠の中で議論の精密化に務めているところである.作用素の超幾何関数は右非負作用素に対して定義される.右非負作用素は村松(1985)によって導入されたもので,分数ベキが定義できる作用素のクラスである非負作用素を少しだけ一般化している.ところで,ある作用素が逆作用素をもつとき,その作用素が非負であることと,それがその逆作用素と共に右非負であることは同値である.従って,例えば,Aが右非負のときlog(1+A)が定義され,Aが逆Bをもつ非負作用素のときはlog(1+A)とlog(1+B)が定まり,その結果log(1+A)-log(1+B)としてlogAを定義することができる.ここでlog(1+A)とlog(1+B)はそれぞれAとBの超幾何関数とみなせる.Aの分数ベキについても同じように考えることができるのである.こうした成果は九州大学での研究集会「数学解析の望ましい姿を探って」で発表し,九州大学出版会から刊行予定の講演録に投稿する手筈である.
|
Research Products
(1 results)