2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540201
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
吉田 裕亮 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (10220667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 勇二 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (60108975)
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Keywords | 作用素環論 / 非可換確率論 / 量子碓率論 / 変形量子化 / 変形合成積 |
Research Abstract |
通常の確率空間においては、その空間上の確率変数のなる関数環と期待値の組を考えると、この組には元の確率空間を復元するに足る情報が含まれている。このことより、関数環を非可換化にすることで非可換碓率空間は与えられる。通常の独立性の概念をこの非可換確率空間に導入することは可能であるが、これは代数的にはテンソル積が対応し、独立な確率変数は互いに可換であるということになり、非可換性が反映されたものではない。Voiculescuにより、導入された自由独立性は、真に非可換性が反映された独立性の概念のひとつである。独立性が混合モーメントの計算則を与えるものと考えると、ある種の公理の下では、非可換確率空間の独立性としては、通常の独立性、自由独立性、ブール独立性の3種類しか得られない。しかし、独立性の概念は合成積を定め、合成積はモーメント・キュムラント関係式を導くことに着目することにより、本研究ではこのモーメント・キュムラント公式の変形でもって新たな独立性の変形を行うことを目的としている。本年度は、1径数変形の代表のq-変形に、新たな径数を付加し2径数の変形量子化に関する考察を行った。これらを一般化されたq-変形と呼んだ。その一般化q-変形に対応したGauss確率変数を変形Fock空間を構成することにより、その上の生成作用素、消滅作用素を用いて与えることに成功した。また、これら一般化されたq-変形に関して、そのモーメント・キュムラント公式に現れる集合分割統計に関しても考察し、一般化された変形に対応する分割統計を与えることにも成功した。これらの結果に関しては、外国旅費に補助金を活用し、ポーランド科学アカデミー主催の量子確率論に関する国際会議で発表を行った。また、本研究課題と研究分野が非常にBozejko教授(Wroclaw大)の来日の際に、専門知識の供与の依頼に補助金を活用した。この研究討議より、新たな重要な研究課題が浮かび上がり、今後の発展が期待出来るものと思われる。
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Research Products
(2 results)