2004 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論におけるコンパクト化と低エネルギー有効理論の研究
Project/Area Number |
14540251
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
末松 大二郎 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (90206384)
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Keywords | 超弦理論 / 超対称性 / 統一理論 / ニュートリノ |
Research Abstract |
超弦理論の低エネルギー領域の有効理論の現象論的特性は超対称性の破れの構造により決定され、超対称標準模型に内在するμ問題等とも密接な関連をを持ち、その解明は極めて重要である。今年度は超対称性の破れついて、非普遍的ゲージーノ質量が存在する場合の現象論的問題として、CP位相と電気双極子能率(EDM)との関係やμ問題を取扱い、さらにニュートリノ質量行列とレプトジェネシスとの関連の検討も行った。本研究において得られた主たる成果の概要は、以下の通りである。 1.超対称統一模型に共通の問題である2重項-3重項分離問題を解決するために、ゲージ群の構造を拡張することにより離散対称性を導入した模型では、ゲージーノ質量の普遍性が一般的に破れ得る。この模型の現象論的効果として、ゲージーノ質量のCP位相が電子や中性子等のEDMにもたらす効果を調べ、超対称粒子の質量がO(100)GeVで、かつ超対称性の破れの位相がO(1)であっても実験に抵触しない可能性を示した。また、このような場合のヒッグス粒子の質量や相互作用の特徴について調べた。さらに、このような模型におけるμ問題の解決について調べた。 2.中間エネルギースケールの存在に基づきμ問題を説明を試みる場合、一般に平坦なポテンシャルを持つ場の存在が仮定される。この平坦なポテンシャルを持つ場は、新しい大域的U(1)対称性の存在をもたらすが、この対称性に基づくバリオン数生成の可能性を指摘した。さらに、重い左巻きニュートリノの崩壊においてCPの破れを最大限に実現し、かつニュートリノ振動の実験データを説明し得る模型を提案し、それに基づきレプトジェネシスに際して要求される再加熱温度について検討した。
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