2002 Fiscal Year Annual Research Report
クォークグルーオンプラズマおよび高密度ハドロン物質のダイナミクス
Project/Area Number |
14540255
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淺川 正之 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50283453)
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Keywords | 格子ゲージ理論 / スペクトル関数 / 超相対論点重イオン衝突 / 有限温度場の理論 / 非平衡場の理論 / カイラル対称性 |
Research Abstract |
1 格子色力学の計算に関して:量子色力学(QCD)におけるカイラル対称性の振舞およぴ実際の観測量と密接に関係した実時間スペクトル関数を、スカラー、擬スカラー、ベクトル、軸性ベクトルの4つのハドロンチャンネルに対して、QCD相転移温度より高い温度において、ユークリッド格子上で測定された相関関数から我々のグループによって以前理論的に整備された最大エントロピー法を用いて構成した。その結果、QCD相転移温度よりも十分高い温度においても、スペクトル関数は測定された4つのチャンネル全てにおいて、幅の狭いピーク構造という非自明な構造を保持し続けることを見出した。このことは、自由に振舞っているクォークとグルーオンとから成るというクォークグルーオンプラズマに対する素朴な描像が成り立たない可能性を示唆している。 2 Disoriented Chiral Condensate (DCC)生成の問題について:超相対論的原子核衝突において期待されるような非一様な量子場の非定常的な時間発展を記述することが出来るスクイズド状態をモデル空間とする時間依存変分原理に基づく理論形式を、初めてΟ(4)シグマ模型におけるDCC生成の問題に適用した。その結果量子的揺らぎを考慮した場合はDCCのドメイン生成は弱められるいう従来の結果は、運動量空間における非対角相関を無視するという近似の結果であり、そのような近似を採用しない場合は観測可能なほど大きなドメインの生成が期待できるということを量子場計算では初めて示した。現在、このドメイン生成の観測量への影響について研究を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Asakawa: "Experimental Signatures of Anomaly Induces Disoriented Chiral Condensate Formation"Physical Review C. 65・5. 057901-1-057901-3 (2002)
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[Publications] M.Asakawa: "Hadronic Spectral Functions above the QCD phase Transition"Nuclear Physics B. (in press).
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[Publications] S.Sasaki: "Bayesian Approach to the First Excited Nucleon State in Lattice QCD"Nuclear Physics B. (in press).
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[Publications] M.Asakawa: "Hadronic Spectral Functions below and above the QCD phase Transition"Nuclear Physics A. (in press).
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[Publications] M.Asakawa: "Negative Elliptic Flow from Anormaly Induced DCC Formation"Nuclear Physics A. (in press).