2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早田 次郎 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (00222076)
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Keywords | ブレイン / AdS / CFT / インフレーション / 重力波 |
Research Abstract |
ブレイン宇宙における揺らぎの進化は自明でない背景場と時間変化する境界条件のために解くことが非常に困難である。以前の仕事で、我々は系の座標変換の自由度を使って自明でない背景場の問題を解く方法を提唱した。その方法によりブレイン宇宙における揺らぎの進化を記述する理論の定式化に成功した。しかし、この方法では状態方程式を解くことが困難であった。そこで、低エネルギー有効作用を系統的に求める方法を開発する必要があった。我々は微分展開法を応用することで有効理論の構成に成功した。特に、それまで暖昧であったAdS/CFT対応との関係を明白にできたことは大きな成果といえる。また、この方法では、ブレインの非線形重力効果を取り扱うことができることも利点の1つである。2-ブレインの場合にはこの低エネルギー有効作用は特に有用である。我々は非線形領域でのラディオンと4次元に射影されたワイルテンソルとの関係を明らかにした。これにより、ブレインモデルで宇宙背景輻射の揺らぎを第原理から計算するための基礎ができた。さらに、我々はこの有効理論に基づく新しい宇宙論的シナリオも提案した。そのシナリオでは、密度揺らぎはスケール不変であるが、重力波の揺らぎはブルースペクトラムである。このことから、ブレイン宇宙でのインフレーションでは背景重力波による宇宙背景輻射への影響はないということが予言される。これは、近い将来に打ち上げ予定の宇宙背景輻射探査衛星Planckで確認できる可能性が高い。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugumi Kanno: "Brane world effective action at low energies and AdS/CFT correspondence"Physical Review D. 66. 043526 (2002)
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[Publications] Sugumi Kanno: "Radion and holographic brane gravity"Physical Review D. 66. 0830506 (2002)