2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早田 次郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00222076)
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Keywords | ブレーン / 宇宙背景輻射 / 低エネルギー / 有効理論 / 重力波 / 余剰次元 / チューコルスキー方程式 |
Research Abstract |
超弦理論は我々の世界を記述する究極の理論であると期待されている。この理論の最も明確な予言は時空が10次元であるというものである。従って、なんらかのコンパクト化の機構によって我々の4次元世界とつながっていなければならない。このコンパクト化の機構としてブレーン宇宙が自然なものであるという示唆が超弦理論からもたらされた。この描像を宇宙背景輻射の観測によって検証することは非常に重要である。しかし、ブレーン宇宙における揺らぎの進化は自明でない背景場と時間変化する境界条件のために解くことが非常に困難であった。そこで、我々は低エネルギーにおける揺らぎの進化を扱う方法として微分展開法を開発した。この方法を使うことで宇宙背景輻射の温度揺らぎを計算することが可能となった。この研究においては簡単のためバルクは真空であると仮定した。ところで、超弦理論によるとバルクにはスカラー場があるほうがより自然である。我々は低エネルギーにおける有効理論を求めるための新しい方法である微分展開法をこのより一般的な場合に拡張することに成功した。これにより、バルクにインフラトンがあるようなインフレーションモデルによる宇宙背景輻射の温度揺らぎの計算が可能となった。また、この方法をブラックホールが放射する重力波の計算へ応用することで有効的チューコルスキー方程式の導出にも成功した。この方程式を数値的に解くことで重力波に対する余剰次元効果を知ることができる。これにより重力波観測による余剰次元の観測へも大きく前進したことになる。
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[Publications] Sugumi Kanno: "Low Energy Effective Action for Dilatonic Braneworld"General Relativity and Gravitation. 36. 689-712 (2004)
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[Publications] Takashi Tamaki: "Radionic Non-uniform Black Strings"Physical Review D. 69. 024010 1-024010 8 (2004)