2004 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質の直接検証等精密実験の超対称模型へのインパクト
Project/Area Number |
14540260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野尻 美保子 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (30222201)
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Keywords | 素粒子論 / 素粒子実験 / 宇宙線 |
Research Abstract |
1)Wino likeあるいはHiggsino likeな暗黒物質が重たい場合の宇宙線シグナルは非摂動的な効果によって爆発的に増幅される場合があることを指摘した。この爆発的な信号の増大の理由を量子論的見地から明らかにした。またTeV領域のγ線がこのような暗黒物質の重要なシグナルとなりうることを明らかにした。 2)LHCなどの直接探索実験によって超対称粒子の質量や相互作用を決定することが可能であるが、このような研究を進めることによって、暗黒物質のthermal relic densityを決めることが可能になる。Thermal relic densityをWMAP等の宇宙の観測と比較することによって、宇宙の歴史の熱的な発展からのずれを、調べることもできると考えられる。 今年度は独自に開発したMass relation methodなど運動学的に厳密な事象の取り扱い方法をもちいて、第三世代の超対称粒子の質量等の再構成が可能であることを示し、このような方法によってそれ以外の超対称粒子も含めた事象のFull reconstructionについて議論した。 3)超対称模型においては、超対称標準模型の粒子が暗黒物質の候補である場合以外に、グラビティーノが暗黒物質になる可能性がある。この際二番目に軽い超対称粒子は準安定になる。この準安定粒子が荷電を持つ場合には、その生成、崩壊はコライダー実験において、速度の遅い準安定粒子の飛跡と粒子の寿命程度の時間ののちに起こる崩壊現象として観測される。 LHC実験の測定器として現在建設中のCMS、ATLAS測定器自体は、衝突と同時に起こる事象に特化され、このような粒子の検出・測定に必ずしも適さない。我々はCMS実験の場合にはその外部にあらたに1Ktonから10Ktonの測定器を追加することが可能であり、これによって準安定超対称粒子を、測定器中に止め、その崩壊を研究することができることを指摘した。
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Research Products
(4 results)