2005 Fiscal Year Annual Research Report
暗黒物質の直接検証等精密実験の超対称模型へのインパクト
Project/Area Number |
14540260
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野尻 美保子 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (30222201)
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Keywords | 素粒子論 / 素粒子実験 / 宇宙線 |
Research Abstract |
1)2007年から始まるLHC実験や、世界の加速器研究所から提案されているLC実験では超対称粒子の質量や相互作用をはかることによって、超対称粒子の宇宙初期での対消滅確率を制限し、熱的に生成される暗黒物質の密度を決定することが可能である。これらの実験でのパラメーター決定について研究するとともに、ベンチマークポイントでの暗黒物質密度についてLHCから得られる制限について検討し、その結果を論文にまとめつつある。2)電荷をもつ超対称粒子が準安定な場合についてLHCのCMS実験の測定器のとなりに新しい測定器を追加することによって、その崩壊を詳しく調べる方法について研究した。このような状況は超対称粒子の一番軽いもの(LSP)が、重力の超対称粒子のグラビティーノであるか、あるいはアクシオンの超対称粒子であるアクシーノの場合である。この場合超対称標準模型(MSSM)の中で一番軽い粒子であるNLSPが準安定になり、もっとも有力なNLSP候補はスカラータウである。本研究ではこのLHC実験で高速で生成されるスカラータウを追加測定器で静止させ、この崩壊からでてくるτ粒子のエネルギーを測定することで、グラビティーノの質量、プランク質量と同じと予想される超重力セクターの崩壊定数、3体崩壊と2体崩壊の比や分布の測定によるグラビティーノとアクシーノの分別など、の物理が可能であることをしめした。結果は論文にまとめつつある。3)上記の準安定粒子のもう一つの有力候補は一番軽いニュートラリーノである。この粒子は電荷中性で測定器で減速することは不可能であり、寿命が十分ながければ、その崩壊を測定することはできない。このような場合でも大強度の電子ビームと暗黒物質がs channelでのスカラー電子の交換によって反応する過程を用いてニュートラリーノからなる暗黒物質の直接的な発見が可能になることを指摘した。
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Research Products
(2 results)