2003 Fiscal Year Annual Research Report
有限量子系の集団振動におけるゆらぎの機構の半古典論的研究
Project/Area Number |
14540272
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鈴木 徹 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20175409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 浩和 京都光華女子大学, 短期大学部, 助教授 (10221706)
藪 博之 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (60202371)
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Keywords | 集団振動のゆらぎ / 巨大共鳴 / 半古典的方法 / 有限原子気体 |
Research Abstract |
本年度当初に提出した研究実施計画に基づき、以下のように研究を進めた。 [a]昨年度進めた集団励起のゆらぎの研究成果を、原子核の四重極振動励起に対して論文にまとめ、出版した。(Physical Review C68)ここで得られた結果を、古典軌道概念に照らして理解するため、応答関数の半古典論に基づく研究を進めた。 [b]トラップされた極低温原子気体における集団励起の例として、ボース・フェルミ斥力系における単極子振動励起を、斥力相互作用強度の関数として調べた。この結果、基底状態における相分離の出現に対応して、単極子平均エネルギーが極小となること、この極小値がゼロにならず有限にとどまることは全系が有限の広がりを持つためであること、相分離前後で一粒子スペクトルが大きく変化すること、単極子強度の分散が相分離後に極端に大きくなる(集団性の喪失)こと、などを見いだした。これらに対して半古典的方法および和則の方法による検討を行い、主要な特徴を再現した。これらの結果を論文にまとめ出版した。(Physical Review A68) [c]集団励起における強度分布の揺らぎは、量子力学系の励起スペクトルの揺らぎにおける可積分系と非可積分系(とくにカオス的系)におけるユニバーサルな差異を、波動関数の特徴の違いとして反映していると期待される。これを直接に波動関数のふるまいの違いとして調べるため、二次元系の模型を用いて波動関数のノード(結節)領域の分布を調べた。この研究はこれまで典型的な可積分系とカオス系に対してなされて来たが、本研究ではこの両者の極限を含む非可積分系である、非調和振動子に対して行なった。その結果、ノード分布のFisherスケーリング、可積分系からカオス系への移行が確認された。とりわけ、これまでの研究では予測されなかった、非可積分性にともなってノード領域が増える可能性を見いだした。この点のさらに詳しい分析を実施している。 以上の他、本研究の海外共同研究者と打ち合わせを行ない、とくに、極低温原子気体の基底状態相および励起状態について議論を行なった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Sogo, T.Suzuki, H.Yabu: "Transition of fermionic spectra and monopole oscillation under phase separation in the atomic Bose-Fermi mixture"Phyiscal Review A. 68. 063607 (2003)
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[Publications] H.Aiba, M.Matsuo, S.Nishizaki, T.Suzuki: "Fluctuation porperties of strength functions associated with giant resonances"Physical Review C. 68. 054316 (2003)
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[Publications] T.Sogo, T.Miyakawa, T.Suzuki, H.Yabu: "RPA Study of Collective Excitations in the Bose=Fermi Mized Atomic gases with Large Excess of Bosons"Physica B. 329-331P1. 53-54 (2003)
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[Publications] H.Yabu, Y.Takayama, T.Suzuki: "Bose-Fermi mixed condensates of atomic gas with boson-fermion bound state"Physica B. 329-331P1. 25-27 (2003)
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[Publications] T.Miyakawa, H.Yabu, T.Suzuki: "Peierls Instability of the Quasi-One-Dimensional Bose-Fermi Mixed Gas"Physica B. 329-331P1. 28-29 (2003)
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[Publications] T.Sogo, H.Yabu: "Collective ferromagnetic staes of degenerate atomic Fermi gas with two components in a trapping potential"Physica B. 329-331P1. 51-52 (2003)