2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーと電子ビームのコンプトン散乱のためのプラズマ・チャンネルの研究
Project/Area Number |
14540273
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
汲田 哲郎 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30271159)
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Keywords | プラズマ・チャンネル / レーザー・コンプトン散乱 / プラズマ航跡場加速 |
Research Abstract |
本研究は、プラズマ・チャンネルを利用してCO_2レーザーと電子ビームのコンプトン散乱による高強度X線の生成実験を行うことを目標としている。 プラズマ・チャンネルとは、毛細管内面にプラズマを発生させた装置であり、一種の光学ファイバーとして使用して、凹面反射鏡等でフォーカスしたレーザー光を焦点程度のサイズのまま数cm輸送することができる。我々は、イスラエル・ヘブライ大学で開発された、ポリプロピレンの1mm径毛細管によるプラズマ・チャンネルを使用した。毛細管の両端に取り付けられた電極間に高電圧パルスを印可してプラズマを発生させる。 実験は、米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)の加速器試験施設(ATF)で行なわれた。ATFには、加速エネルギー60MeVの電子加速器と設計出力1TWのCO_2レーザーが設置されている。 ヘブライ大学でのプラズマ・チャンネル実験は、波長1μmのレーザーで行われてきたが、波長10.6μmのCO_2レーザーを輸送するためには、プラズマ密度を臨界密度の1/100程度の10^<17>/cm^3にする必要がある。このような低密度のプラズマを生成する条件を導出し、CO_2レーザーを100μm程度の径で17mmの距離を輸送することに成功した。 また、プラズマ・チャンネル中に60MeVの電子ビームを通過させる実験を行なったところ、電子ビームがプラズマによって、加減速・収束・発散効果を受けることが確認された。電子の加速は17mm長のプラズマ・チャンネル中で0.6MeVに達した。これは、加速勾配35MeV/mのプラズマ航跡場加速が実現されていることを示している。 現在まで、最終目標であるレーザーと電子ビームのコンプトン散乱の確認には至っていないものの、プラズマ・チャンネル中でのレーザー、電子ビーム各々の振る舞いに、興味深い結果が得られている。
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[Publications] V.Yakimenko, T.Kumita 他: "Cohesive Acceleration and Focusing of Relativistic Electrons in Overdense Plasma"Physical Review Letters. 91. 014802-1-014802-4 (2003)
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[Publications] I.V.Pogorelsky, T.Kumita 他: "Transmission of high-powr CO_2 laser pulses through a plasma channel"Applied Physics Letters. 83. 3459-3461 (2003)