2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540277
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Research Institution | Edogawa University |
Principal Investigator |
小田 一郎 江戸川大学, 社会学部, 助教授 (40265517)
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Keywords | 膜の世界 / 局在化 / 超弦理論 / ピュアスピノル / 共変的量子化 |
Research Abstract |
1984年にグリーンとシュワルツは、時空の超対称性が明白である超弦理論の古典的な作用を提出した。その後すぐにこの作用は超弦のみならず、超膜や一般のp-braneに対しても拡張できることがわかった。ところがこの古典的な作用はこの理論の持つκ対称性のためにローレンツ共変な第一量子化が難しいことが示された。その為にグリーンとシュワルツはローレンツ共変性を破る光円錐ゲージで量子化したが、このゲージでは、外線の数が多いときのツリー振幅や多重ループの計算を行うことは不可能であった。従って、グリーン・シュワルツの古典的な作用をローレンツ共変な形で量子化するという問題は、その後多くの研究者たちの注目を集め、この問題に関係する多くの論文が出版されたにも関わらず、約10数年間未解決の問題として残っていた。 こういった状況の中で、2000年にブラジル人のバーコビッツがグリーン・シュワルツの作用は、以前数学者のカルタンが作ったピューアスピナーを用いればローレンツ共変な形で量子化可能であるかもしれないことを指摘した。当時、短期滞在でイタリアのパドバ大学に滞在していた私はこの論文の重要性に着目し、当地のマリオ・トーニン教授との共同研究に着手した。バーコビッツの論文には、彼の作用とグリーン・シュワルツの作用の関係が明確でないこと、起源となる理論が明らかでないことなどの問題があったので、我々はこれらの問題に取り組み、肯定的に解決した(2本の共著の論文を出版)。また、この量子化の方法を11次元のM理論に対応するローレンツ共変な行列模型を構成することに応用し、単著の論文を1本出版した。最近になって、本研究費を利用して再度パドバ大学に滞在し、この理論内に存在するb幽霊場の構成とその性質を明らかにする論文をトーニン教授との共同研究で出版した。
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Research Products
(1 results)