2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540290
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
杉山 直 国立天文台, 理論天文学研究系, 教授 (70222057)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙マイクロ波背景放射 / 構造形成 / 初期天体形成 |
Research Abstract |
本年度は、2003年2月に初期成果が報告されたWMAP衛星の結果を受けて、主として宇宙初期での天体形成と、その結果として銀河間空間がどのようにイオン化していくのかについて、集中的に調べた。 (1)ガスを含んだ数値シミュレーションにより、初期天体形成過程を詳細に調べた。そこでは特に、化学反応を正確にいれることで、正しい冷却の過程を数値計算に取り入れた。 (2)インフレーション期に生成される通常のガウス的性質を持っている密度揺らぎによって生み出される構造では、イオン化はWMAPの観測するような初期には達成しがたい。そこで、より早い時期に、構造が形成可能となる、非ガウス的性質を持っている初期揺らぎの存在によって、WMAPの観測と合うようなイオン化が達成できる可能性について調べた。 (3)重たい未知の素粒子が紫外光を出して崩壊する過程が存在すれば、やはり早い時期でのイオン化が達成できる可能性があることを示した。 WMAP、及び将来のさらに精密な衛星計画であるPLANCKによって、宇宙背景放射の温度揺らぎをこれまでにない精度で詳細に観測できるようになりつつある。一方で、温度揺らぎの理論計算に関しては、一般に流布しているコードがブラックボックス的に使われており、その計算精度については、これまであまり詳しい解析がなされていなかった。そこで、国際的な協力のもと、計算精度について非常に詳細に調べた。その結果、0.2%レベルの範囲で、様々な計算コードがよい一致を示していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Kasuya, M.Kawasaki, Naoshi Sugiyama: "Partially ionizing the universe by decaying particles"Physical Review. D69. 023512 (2004)
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[Publications] X.Chen, A.Cooray, Naoki Yoshida, Naoshi Sugiyama: "Can Non-Gaussian Cosmological Models Explain the WMAP's High Optical Depth for Reionization?"Mon.Not.Roy.Astro.. 346. L31-L35 (2003)
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[Publications] U.Seljak, Naoshi Sugiyama, M.White, M.Zaldarriaga: "A comparison of cosmological Boltzmann codes : are we ready for high precision cosmology?"Physical Review. D68. 083507 (2003)
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[Publications] Naoki Yoshida, Naoshi sugiyama, Lars Hernquist: "The evolution of baryon density fluctuations in multi-component cosmological simulations"Mon.Not.Roy.Astro.. 344. 481-491 (2003)
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[Publications] Naoki Yoshida, Tom Abel, Lars Hernquist, Naoshi Sugiyama: "Simulations of Early Structure Formation : Primordial Gas Clouds"Astrophysical Journal. 592. 645-663 (2003)
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[Publications] Naoshi Sugiyama: "Shine the Dark Ages"New Astronomy Reviews. 47. 887-891 (2004)