2002 Fiscal Year Annual Research Report
構造II型クラスレート・ハイドレート化合物の弾性的性質とそのゲスト分子依存性
Project/Area Number |
14540298
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部, 助教授 (30196159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 徹二 岐阜大学, 工学部, 助手 (30293541)
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Keywords | クラスレート・ハイドレート / 弾性定数 / 高圧 / DAC / 光散乱 / 窒素ハイドレート / アルゴンハイドレート / クリプトンハイドレート |
Research Abstract |
本研究課題は,構造II(sII)型クラスレート・ハイドレート単結晶の音速,弾性定数,圧縮率,屈折率等の圧力依存性を決定し,機械的構造安定性,ホストケージーゲスト分子間相互作用(ゲスト分子の弾性的性質への寄与)を明らかにすることを目的とする。平成14年度は本課題の研究計画に従い,新たに製作したヘリウムガス駆動型ダイヤモンド・アンビル・セルを用いて窒素,アルゴン・クリプトンハイドレートの単結晶を作製し,顕微鏡観察,高圧ラマン散乱分光測定より各クラスレート・ハイドレート化合物のsII相の存在圧力領域および圧力誘起構造相転移について調べた。本課題の対象であるsII型のクラスレート・ハイドレートの存在領域は,窒素ハイドレートでは0.1〜0.85GPa,アルゴンハイドレートでは0.2〜0.43GPa,クリプトンハイドレートでは0.05〜0.30GPaであることがわかった。また,窒素ハイドレートは0.85GPaで六方晶,1.45GPaで斜方晶のハイドレートへ,アルゴンハイドレートは0.43GPaで六方晶,0.66GPaで正方晶,1.05GPaで斜方晶のハイドレートへゲスト分子のホストケージにおける占有性を変えながら構造相転移をすることが明らかになった。[J. Chem. Phys.,118(2003),Chem. Phys. Lett.,368(1-2),132(2003)]クリプトンハイドレートについても0.30GPaでsII型と異なる立方晶へ相転移することが見いだされた。次に機械的構造安定性,ホストケージーゲスト分子間相互作用のゲスト分子依存性を調べるためにアルゴンハイドレートの高圧ブリュアン散乱測定を行い,sII相の弾性的性質の圧力依存性を決定した。この結果から,sII型アルゴンハイドレートはsI型構造のメタンハイドレートとよく似た弾性的性質を有し,加圧に対し相対的に剪断応力に弱くなることが見出された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Shimizu et al.: "Optical microscopy and Raman scattering of a single argon hydrate at high pressures"Chem Phys. Lett.. 368・1-2. 132-138 (2003)
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[Publications] S.Sasaki et al.: "Microscopic observation and in situ Raman scattering studies on high-pressure phase transformations of a synthetic nitrogen hydrate"J. Chem. Phys.. 118. (2003)