2002 Fiscal Year Annual Research Report
部分重水素化による有機超伝導体の超伝導絶縁体近傍における^<13>C-NMR
Project/Area Number |
14540316
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河本 充司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60251691)
|
Keywords | 有機超伝導体 / 強相関電子系 / ^<13>C-NMR / BEDT-TTF / 反強磁性 |
Research Abstract |
ここ数年においては、k-(BEDT-TTF)_2X系において、部分重水素置換による化学圧力の導入で、Mott近傍での物質のコントロールができることを実証し、それらのコントロールされた試料を用いて、詳細なデータの収集や、Mott近傍での超伝導-AF転移や、状態密度の変化等強電子相関系で重要な現象を発見した。そのなかで磁場による超伝導-絶縁体転移のメカニズムの解明は、強相関電子系を理解するうえで重要なものだと考えられる。微視的電子状態をチェックするうえで重要なNMRな測定手段であるが、部分重水素化したBEDT-TTF塩はその合成法からいままで^<13>Cにエンリッチすることができず、NMRの研究ができない状態にあった。今までとは違った合成ルートを検討するすることにより部分重水素化された^<13>C置換BEDT-TTFを合成することに成功したので、同位体を本研究費で購入し研究に十分な量の部分重水素化された^<13>C置換BEDT-TTFを手にいれることができた。またいままでは、BEDT-TTFの中心のC=C結合の両方のCを^<13>Cに置換していたのでPake分裂が起こりNMRの解析を困難にしていた。しかし、今回、合成した試料は、片側のCのみを^<13>Cに置換したもので、定量的なNMRの実験をするのを可能にしている。有機超伝導体は、酸化物と同様に二次元電子系なので、その異方性のため単結晶での研究が要求される。部分重水素化BEDT-TTFを用いたNMR用大型単結晶の作製もすすんでおり、現在、4〜5mgクラスの単結晶をえている。NMR測定も順調に進んでおり一部の成果については、国際学会で発表した。また、置換効果についても研究を行い重要な知見をえることができた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] M.Yamashita, A.Kawamoto, K.Kumagai: "^<13>C-NMR study of partially deuterated κ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Br"Synthetic Metal. (in press). (2003)
-
[Publications] A.Kawamoto et al.: "Phase Control of κ-(BEDT-TTFCu[N(CN)_2]Br by Partial Deuteration"Synthetic Metal. (in press). (2003)
-
[Publications] A.Kawamoto et al.: "^<13>C-NMR Study of Partially Deuterated κ-(BEDT-TTF)_2Cu[N(CN)_2]Br"Synthetic Metal. (in press). (2003)
-
[Publications] J.Sasaki, A.Kawamoto, K.Kumagai: "Magnetic properties of the alloy of κ-(BEDT-TTF)_<2(1-X)>(BEDSe-TTF)_<2X>Cu[N(CN)_2]Br"Synthetic Metal. (in press). (2003)