2002 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム磁場中の二次元電子状態およびその量子輸送に関する理論的研究
Project/Area Number |
14540317
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢久保 考介 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40200480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 弘幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40312392)
中山 恒義 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002236)
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Keywords | ランダム磁場二次元電子系 / 局在・非局在転移 / スケーリング理論 / 強制振動子法 / マルチフラクタル解析 / 不均一磁場転送行列法 |
Research Abstract |
本研究は、強制振動子法、有限サイズ・マルチフラクタル解析、不均一磁場転送行列法等、これまでに我々が開発した様々な数値解析手法を駆使して、ランダム磁場下の二次元電子状態および量子輸送特性を解明することを目的としている。そのため、本年度は主に、強制振動子法と有限サイズ・マルチフラクタル解析を用いた数値計算により、ランダム磁場下の二次元電子状態に関する研究を行った。具体的には、(1)短距離相関(δ相関)ランダム磁場下の二次元電子系をタイト・バインディング・モデルで記述し、そのハミルトニアンの固有値と固有ベクトルを強制振動子法によって計算した。(2)(1)で得られた波動関数に対して有限サイズ・マルチフラクタル解析を行い、非局在転移の有無を調べた。その結果、零平均ランダム磁場の系には非局在転移は存在しないが、非零平均ランダム磁場下二次元電子系には量子ホール転移と同じユニバーサリティ・クラスの転移が存在することが明らかになった。(3)臨界状態のマルチフラクタル性をより詳細に調べるため、マルチフラクタル性を支配する指数に対する有限サイズ・スケーリング解析法を開発した。この方法は、臨界点頂上においてもirrelevant lengthが特徴的長さとして存在することを積極的に利用した方法であり、これまで計算精度の評価が難しかったマルチフラクタル・スペクトルや一般化次元の定量的評価を可能にしたものである。本研究では、この方法の有効性を示すために、スピン起動相互作用の強いシンプレクティック系のモデルであるSU(2)モデルに対してこの方法を適用した。その結果、無限系における臨界波動関数の一般化次元D_2を精密計算に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Shima: "Acceleration of the forced oscillator method and its application to a model for glasses"Physica B. 316. 521-523 (2002)
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[Publications] K.Yakubo: "Persistent currents in Moebius Strips"Phys.Rev.B. 67(in press). (2002)
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[Publications] T.Nakayama: "The role of buckled molecules for THz dynamics of network glasses"J Non-Cryst.Solids. 307. 73-79 (2002)
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[Publications] T.Nakayama: "Boson peak and terahertz frequency dynamics of vitreous silica"Rep.Prog.Phys.. 65. 1195-1242 (2002)
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[Publications] T.Nakayama: "Microscopic buckling as an origin of the boson peak in network glasses"Physica B. 316. 497-499 (2002)
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[Publications] T.Nakayama: "Fractal Concepts in Condensed Matter Physics"Springer-Verlag(in press). 241 (2003)