2004 Fiscal Year Annual Research Report
強相関格子模型の電子状態研究における並列アルゴリズム動的クラスター近似計算の開発
Project/Area Number |
14540322
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 幸弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70250727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 治 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60005957)
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Keywords | 動的平均場理論 / LMTOバンド計算 / 近藤効果 / スクッテルダイト |
Research Abstract |
電子相関効果の波数依存性を現実の物質の実験結果と比較するために,動的平均場理論と組み合わせることのできるLMTO法のバンド計算プログラムの整備を行った。また,バンド計算によって求めた混成効果が重要な軌道の部分状態密度から不純物模型の有効混成を評価するプログラムを作成した.この有効混成を用いた不純物模型を解くことによって,バンド計算から得られる電子状態に基づいて電子相関効果を考慮する出発点とすることができた。バンド計算と動的平均場理論との組み合わせにおいては,上記の有効混成が自己無撞着解のよい初期値となっている。Ce化合物においてLMTO法と動的平均場理論の自己無撞着バンド計算を行い,従来のLDAバンド計算結果との比較を行い,コヒーレンスピークとそのスピン軌道サテライトピークが現れることを示した。また,光電子分光実験との比較を行った。 Prスクッテルダイト化合物の重い電子状態について数値繰り込み群法を用いて研究した。Prイオンのf電子状態が立方晶中の結晶場で寸裂する効果を正確に取り扱った不純物アンダーソンモデルを用いて,この系の重い電子状態が近藤効果によって出現しうるか否かを検討した。近藤効果が重い電子の起源として重要となるのは,Γ8対称性の伝導電子とPrのf電子との混成が大きい場合に限られることを明らかにした。Pr0s4Sb12においてはフェルミ準位近くの電子の対称性はΓ8と異なっている。これらのことからPr0s4Sb12の重い電子状態の起源に近藤効果は副次的なものであることを示した。
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Research Products
(5 results)