2003 Fiscal Year Annual Research Report
低次元量子スピン系における非磁性基底状態と磁場誘起スピンギャップの理論的新展開
Project/Area Number |
14540329
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40152342)
|
Keywords | 低次元系 / 量子スピン / フラストレーション / レベルスペクトロスコピー / 磁化プラトー / スピンギャップ / BIP-TENO / アズライト |
Research Abstract |
1.逆相にボンド交代が入ったS=1/2の2本足スピン梯子の相図については,概形はわかっていたものの,境界の振る舞いに二説ありどちらが正しいかは未解決の問題であった.本研究では数値計算データを解析的理論の支援の下に分析する方法(レベルスペクトロスコピー)により,従来の方法では解決困難であった問題に明確な解決をつけた. 2.BIP-TENOと略称される有機ラジカル化合物は広い磁化プラトー(飽和磁化の1/4)という特異な磁化過程をもっている.この物質を構造解析すると最も単純にはS=1の2本足スピン梯子系とみなせるのであるが,磁化過程の特異性は単純なモデルでは説明がつかない.本研究では,単純なモデルにどのような要素が加われば特異な磁化過程が発現するかを,解析的数値的手法で詳細に調べた.このテーマについては,実験グループとの緊密な連携の下に研究を行った. 3.S=1/2の歪んだダイヤモンド型鎖モデルについて,磁場中の性質を解析的数値的に詳細に調べた.このモデルは三量体性とフラストレーションが特徴であり,両者の相乗効果によって非常に興味深い現象が磁場中で見られることが本研究で明らかになった.アズライト(藍銅鉱)がこのモデルに適合する物質とされており,本研究の理論的結果はアズライトの実験結果をかなりよく説明している.アズライトでは本研究で考慮しなかったジャロシンスキー-守谷相互作用の影響もあると思われ,現在その効果を取り入れた研究が進行中である.このテーマについても実験グループと常に情報交換を行いがら研究を進めた.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Kiyomi Okamoto: "Phase diagram of the S=1/2 two-leg spin ladder with staggered bond alternation"Physical Review B. 67・21. 212408-1-212408-3 (2003)
-
[Publications] Toru Sakai et al.: "Magnetization Plateaux in S=1 Organic Spin Ladder BIP-TENO"Physica B. 329-333 PART II. 1203-1204 (2003)
-
[Publications] Kiyomi Okamoto, Toru Sakai: "Spin-Peierls Mechanism for the Non-Trivial Magnetization Plateaux in Two-Leg Spin Ladders"Physica B. 329-333 Part II. 1207-1208 (2003)
-
[Publications] Kiyomi Okamoto, Takashi Tonegawa, Makoto Kaburagi: "Magnetic Properties of S=1/2 Distorted Diamond Chain"Journal of Physics : Condensed Matter. 15・35. 5979-5995 (2003)
-
[Publications] T.Sakai, K.Okamoto, K.Okunishi, M.Sato: "Anomalous magnetization process in frustrated spin ladders"Journal of Physics : Condensed Matter. 16・11. S785-S789 (2004)