2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540334
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大野 義章 新潟大学, 理学部, 教授 (40221832)
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Keywords | 充填スクッテルダイト化合物 / PrOs_4Pb_<12> / ラットリング / 重い電子 / フォノン / 周期的アンダーソン模型 / 動的平均場理論 / 超伝導 |
Research Abstract |
PrOs_4Pb_<12>などの充填スクッテルダイト化合物やCe_3Pd_<20>Ge_6などのクラスレート化合物では、カゴに内包された希土類イオンがオフセンターに複数の極小値を持つポテンシャルの中で局所振動(ラットリング)を示し、その重い電子状態や超伝導との関わりが注目されている。希土類イオンの局所振動と伝導電子との結合の効果を明らかにするため、f電子間のクーロン相互作用に加えてf電子と局所フォノンとの相互作用を考慮に入れた周期的アンダーソン・ホルスタイン模型を動的平均場理論により調べた。電子フォノン相互作用の増大と共に準粒子の有効質量が増大し、強結合領域では有効質量が100倍以上になる重い電子状態が実現する。それに伴って、強結合領域ではフォノンのソフト化や大きな格子の揺らぎが見られる。また、イオンの有効ポテンシャルを変分波動関数を用いて調べ、強結合領域では単純な調和ポテンシャルからdouble-well型ポテンシャルへと変形することがわかった。さらに、伝導電子間に働く有効相互作用を調べ、重い電子の形成され始めるところで超伝導を導く引力相互作用が最大となることがわかった。以上の結果は、PrOs_4Pb_<12>において電子フォノンの強結合効果による重い電子状態が実現している可能性を示唆すると共に、以前A15化合物に対してYuとAndersonによって提案された局所電子フォノン模型に対して電子フォノン相互作用を正確に取り扱い定量的な議論を初めて行った意義がある。
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Research Products
(4 results)