2002 Fiscal Year Annual Research Report
量子臨界点近傍にあるCe、U化合物の極低温圧力下磁化測定
Project/Area Number |
14540335
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西岡 孝 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10218117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30170773)
|
Keywords | 重い電子系超伝導体 / 巨視的トンネル効果 / 高圧・極低温磁化測定 / 強磁性体 / UGe_2 |
Research Abstract |
UGe_2は高圧下で超伝導と強磁性が共存する物質である。本研究で最も重要な成果はUGe_2が1K以下で磁化のとびを示すことを発見したことである。この磁化のとびはほぼ規則的な磁場間隔で起こることから巨視的トンネル効果(MQT)によって起こっていることが期待される。 この磁化のとびの原因を明らかにするためには圧力下で0.1K以下まで測定できる磁化測定器が開発が必要である。我々は、ホール素子を用いる新しい方法によっ静的な磁化を0.1K以下の温度、10kbar程度までの高圧下で測定することを可能にし、さらに磁場を精度よく評価することのできるしい磁化測定システムを開発に成功した。 既存の磁化測定装置とこの開発した装置を組み合わせて、0.1K以下の低温域、10kbar程度までの高圧下の磁化測定を行い、磁化のとびはほぼ規則的な磁場間隔で起こり、そのとぶ磁場は温度にほとんど依存しないことを見出した。この結果は、磁化のとびがMQTによって起こっていることを支持するものであるが、一方、強磁性履歴曲線のマイナループにおいて磁化のとびが観測されないというMQTと矛盾する結果も得られており、磁化のとびの原因を解明するためにはさらに進んだ実験を行う必要がある。 超伝導の出現には強磁性転移とは異なるTxで起こる未知の相転移が重要で考えられている。我々は、未知の相転移を特徴付ける新しい物理量の異常(ゼロ磁場冷却の磁化の折れ曲がり、Tx以下での保磁力の急激な増大)を明らかにした。また、磁化のとびは強磁性履歴曲線の保磁力が低温で急激に増加することと強く関係していることを明らかにし、従って、磁化のとびと超伝導の間には強い相関があることを指摘した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] T.Nishioka, G.Motoyama, S.Nakamura, H.Kadoya, N.K.Sato: "Unusual Nature of Ferromagnetism Coexisting with Superconductivity in UGe_2"Physical Review Letters. 88・10. 237203-1-237203-4 (2002)
-
[Publications] T.Nishioka, G.Motoyama, S.Nakamura, N.K.Sato: "Nature of Ferromagnetic Phase in Pressure-Induced Ferromagnetic Superconductor UGe_2"Acta Physica Polonica B. 34・3. 485-488 (2003)
-
[Publications] T.Nishioka, G.Motoyama, S.Nakamura, N.K.Sato: "Unusual ferromagnetic behavior in UGe_2"Physica C. (印刷中). (2003)
-
[Publications] H.Nakane, G.Motoyarna, S.Nakamura, T.Nishioka, N.K.Sato: "Ac magnetic susceptibility measurements on UGe_2"Physica C. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Y.Ushida, T.Nishioka, G.Motoyama, S.Nakamura, N.K.Sato: "Thermal expansion measurement under high pressure of UGe_2"Physica C. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Y.Ushida, H.Nakane, K.Kimura, T.Tsuzuki, T.Nishioka, S.Inoue, K.Matsushita, N.K.Sato: "Construction of a ^3He cryostat using a charcoal sorption pump"Physica C. (印刷中). (2003)