2004 Fiscal Year Annual Research Report
二本足スピン梯子系及び一次元ボンド交替スピン系の動的性質
Project/Area Number |
14540336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 誠一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40206389)
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Keywords | S=1ボンド交替スピン鎖 / 動的構造因子 / 垂直磁揚 / ハルデーンギャップ / 数値厳密対角化 / 近藤絶縁体 / 動的平均場近似 / 量子相転移 |
Research Abstract |
今年度得られた主な結果は以下の通りである。 (1)ランチョス法に基づく連分数展開法でS=1ボンド交替鎖の垂直磁場中での動的構造因子を計算した。ハルデーン相では、垂直磁場中でも素励起連続帯が高エネルギー領域にとどまるため、磁場により分裂した3本の孤立マグノンモードが現れる。系がギャップレスになり量子相転移をした後でも、同じ理由で3本の孤立マグノンモードは引き続き現れる。一方、ダイマー相では磁場増加に伴い、素励起連続帯が低磁場側にシフトする。そのため、高エネルギー側のマグノンモードは素励起連続帯に飲み込まれ消えてしまう。量子相転移後は真ん中のブランチに引き続く一本の孤立マグノンモードしか現れない。これは、磁場に平行・垂直方向の成分を持っ素励起連続帯で磁場依存性が異なることに起因している。以上の結果は、S=1ボンド交替鎖物質NTENPおよびハルデーン鎖物質NDMAPの垂直磁場中での非弾性中性子散乱の実験結果を定性的に説明する。 (2)周期的アンダーソンモデルを用い動的平均場近似と量子モンテカルロ法によって、近藤絶縁体の磁場中での相図を求めた。低温では磁場増加に伴い、近藤絶縁体-反強磁性体-磁気偏極した金属へと相転移する。反強磁性転移温度以上では重い電子状態が現れ、そこでの伝導電子の磁気モーメントの向きは磁場増加により、磁場と反平行から平行へと変化する。これは電子相関による近藤一重項形成とゼーマンエネルギーとの競合に起因する。
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Research Products
(5 results)