2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540341
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高木 精志 九州工業大学, 工学部, 教授 (90112359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美藤 正樹 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60315108)
出口 博之 九州工業大学, 工学部, 教授 (30192206)
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Keywords | 量子スピン系 / ハルデン系物質 / 量子梯子系物質 / スピン・パイエルス物質 / 加圧下磁性 / 圧力誘起異常磁性 |
Research Abstract |
低次元量子スピン系物質,有機磁性体などの分野において,顕著な量子効果により基底一重項状態が実現するスピンギャップ系の研究が,強相関物質との関連で最近注目されている. 我々は,有機低次元量子スピン系物質の加圧下での磁化および帯磁率の精密測定を行い,ギャップ温度あるいは転移温度以下の低温域で加圧に伴つて誘起される大きな常磁性成分が存在し,逆にスピンギャップ成分あるいは低次元磁性成分が減少するという圧力誘起異常磁性を初めて観測した.このような圧力誘起異常磁性のメカニズムを解明する為に,平成14年度は,3種類のスピンギャップ系物質((1)ハルデン系物質Ni(C_5H_<14>N_2)_2N_3PF_6,(2)量子梯子型物質Cu_2(C_5H_<12>N_2)_2Cl_4,およびこの物質のClをBrで置換した類似の物質,(3)SP物質MEM-[TCNQ]_2,およびこの物質のメチル基をエチル基で置換した類似物質DEM-[TCNQ]_2等)の良質な試料作成(合成ならびに単結晶作成)を行い,加圧下での磁性の精密測定を行うとともに,MEM-[TCNQ]_2については単結晶を用いた加圧下直流帯磁率の結晶軸依存性などの測定を行って,顕著な異方性があることを明らかにした.また,これらと平行して物質構造科学研究所の放射光(KEK-PF)共同利用による低温&加圧下のX線構造解析を小型のダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて行い,加圧下での結晶構造変化を確かめた.さらに,微視的な測定手法である電子スピン共鳴(ESR)および核磁気共鳴(NMR)を加圧下で行うために,現有のESR装置(日本電子JES-RE2X型)およびNMR装置(サムウェイPROT3001MR)に組み込んで使用できる圧力セルを開発し,平成15年度に計画している磁気共鳴の実験の準備を行った.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Takagi et al.: "Anomalous Pressure Dependence of the Magnetic Susceptibility of a Spin-Peierls Substance : MEM-[TCNQ]_2"Mol. Cryst. Liq. Cryst.. 376. 377-382 (2002)
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[Publications] M.Mito et al.: "Pressure Effects on an S=1 Haldane Compound Ni(C_5H_<14>N2)_2N_3(PF_6)"J. Phys. Soc. Jpn.. 72. 399-404 (2003)
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[Publications] K.Ejima et al.: "Pressure Effect on the Magnetism and Structure of a Spin-Peierls Substance : MEM-[TCNQ]_2"Physica B. (印刷中). (2003)