2002 Fiscal Year Annual Research Report
液体ヘリウム3における気泡発生機構の可視化法による研究
Project/Area Number |
14540367
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
藤井 佳子 岡山理科大学, 理学部, 教授 (20159122)
|
Keywords | 液体ヘリウム3 / 気泡発生機構 / 沸騰 / 可視化 |
Research Abstract |
液体に浸された固体表面(伝熱面)から液体への熱伝達は、伝熱面からの熱流束の増加につれ、非沸騰状態から核沸騰状態さらに膜沸騰状態へと転移する。我々は、1k以下の極低温において、液体ヘリウム3の沸騰熱伝達特性を、伝熱面とバルクな液との間の温度差と熱流束の測定より調べた結果、核沸騰状態では、他の低音流体に摘要されている関係式から定性的にも定量的にも大きくずれることがわかった。そこで液体ヘリウム3の核沸騰状態における気泡の発生を、可視化によって直接観測することにより、沸騰熱伝達特性を微視的な立場から解明するのがこの研究の目的である。液体ヘリウム3は、光学窓をもつ測定セルの中に溜められていて、セルの底の伝熱面は無酸素銅で作ってある。室温部に置いた光源から発した光を、赤外線カットフィルターを通した後、グラスファイバーにより低温部まで導く。凸レンズで平行光線にし、プリズムで90度に曲げた後、測定セルの液体ヘリウム3に照射する。液体を透過した光をイメージファイバー(3μm×3000本)で室温部に導き、高速度カメラ(500フレーム/秒)で撮影した。画面には液体の密度勾配を反映した明暗の像が見られた。気泡発生から離脱までの時間は、0.7Kでは14ミリ秒、1.8Kでは6ミリ秒で、液体窒素で報告されている時間に比べてかなり短かいことがわかった。伝熱面から成長する気泡の形は回転楕円体で、液体窒素で報告されている伝熱面にネックをもつ球形と比べ特徴的である。伝熱面離脱時の気泡の径を、熱流束および温度の関数として測定した。今後、更に気泡撮影の解像度を上げて測定を行い、気泡の発生と成長の機構を明らかにする。
|
-
[Publications] Masanori Katagiri: "Visualization of ^3He Nucleate Boiling"Physica. B(掲載確定). (2003)
-
[Publications] Masanori Katagiri: "Visualization of ^3He Nucleate Boiling below 1K"Journal of Low Temperature Physics. 126. 719-724 (2002)