2004 Fiscal Year Annual Research Report
内核-外核-マントルの結合とマントル・内核の粘性率を考慮した地球回転変動の研究
Project/Area Number |
14540396
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中田 正夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50207817)
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Keywords | 地球回転 / 外核 / レオロジー / マントル / 氷床運動 / 気候変動 / ダイナモ作用 / コア・マントル結合 |
Research Abstract |
第四紀の表層加重の再分配はマントル・外核・内核の差分回転を引き起こし種々の興味深い地学現象と関係していると考えられている。例えば、氷床変動と地球磁場変動の関係などが考えられるが、どのようにリンクしているかはこの現象に伴う差分回転を定量的に見積もる必要がある。本研究においては、この現象を定量的に評価することを目的にしている。具体的には、マントルを粘弾性体、外核をinviscid、内核を有限の粘性率を持った粘弾性体としたモデルによる種々のラブ数を評価するプログラムを開発し、CMBとICB境界においては電磁結合を考慮して、地球全体、外核、内核の回転変動を評価している。電磁結合においては、ICB域でのポロイダル磁場の強度が重要であることが確かめられ、かつあるパラメータ範囲(粘性率やICB域でのポロイダル磁場の強度)では外核の西方移動や内核のスーパーローテーションが本モデルで説明できることを明らかにした。本研究の主な結果は以下である。 (1)内核と外核の差分回転は、内核の粘性率には依存せずに、下部マントルの粘性率とCMBとICB境界の電磁結合に敏感である。CMBとICB境界に電磁結合が働かない場合は、内核と外核のマントルに対する差分回転は、それぞれ〜2°/年と〜1°/年となる。外核に関する計算値は、西方移動から推定されている外核の差分回転に比べ非常に大きな値である。 (2)表面のポロイダル磁場を下方接続して求めた電磁結合を用いると、有為な内核・外核の差分回転は得られない。ただし、急激な氷床の融解(実際に観測されていて、〜200年で〜25mの海面上昇)においては、応答が弾性的になり有為な差分回転が得られる。 (3)これらを総合的に評価すると、第四紀の氷床変動は十分に外核のダイナモ作用に影響を与える可能性がある。つまり、気候変動は磁場変動に影響を与える可能性が示唆される。
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Research Products
(3 results)