2002 Fiscal Year Annual Research Report
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14540401
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
大迫 正弘 国立科学博物館, 理工学研究部, 室長 (60132693)
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Keywords | マントル物質 / 熱拡散率 / 熱伝導率 / 高圧力 / 川井式装置 |
Research Abstract |
研究の中心は地球のマントル物質を主にその熱輸送係数の値を地球深部に相当するような高圧・高温で求めることにある。そのための測定には円盤状にした試料の間に試料と同じ直径の薄いヒーターを挟み、ここを瞬時加熱し、試料内の温度変化をヒーターから離れた位置で検出して、温度変化と試料の長さと電力とから熱拡散率と熱伝導率を求める方法を用いている。高圧力の発生は固体圧縮により、川井式二段アンヴィル高圧力発生装置を使用した。測定実験は岡山大学固体地球研究センターにて行なった。 本年度は測定の追試験と測定回路の改良とを行った。まずカンラン石につい再測定し、これまでの結果とあわせて第6回高圧鉱物物理学(国際)セミナーにて発表し、現在論文を投稿中である。またヒスイ輝石を主要マントル物質の輝石と見なして測定し、その熱伝導率の圧力効果を求めた。 この実験の難しさの一つは、試料が物理的に小さくて高圧測定用の試料まわりの工夫もさることながら、熱電対でとらえる試料温度の時間的変化が微弱なところにもってきて、ノイズの多い実験室の環境で測定を行うため、必要な信号が検出できなくなることである。また高温においては、温度の少しのふらつきによる信号のレベル変化がデータ収集を難しくする。そこで、パルス加熱の位相を電源ノイズに対してずらして積算処理を行い、またベースラインの自動ゼロ合わせを行うなどの測定回路に工夫をほどこして、高温時でも安定してデータがとれるようにした。 今のところ測定は直径が4mm、厚さが1mmの大きさの試料で圧力8.4GPa、温度800℃までとなっている。圧力上昇時に引出線の接触による故障がしばしば起こり、更なる高圧高温の測定に支障がでている。今後はこの原因を取り除くことを第一とし、また、データ処理にさらなる改善を行う予定である。
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