2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540402
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
山崎 俊嗣 独立行政法人産業技術総合研究所, 海洋資源環境研究部門, 研究グループ長 (80344125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 啓邦 独立行政法人産業技術総合研究所, 海洋資源環境研究部門, 主任研究員 (90356725)
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Keywords | 古地磁気 / 地磁気強度 / 海底堆積物 / ブルン期 / 松山期 / 磁化率 / 太平洋 / 古気候変動 |
Research Abstract |
研究には、2つの海域から得られた計5本の海底堆積物コアを用いた。昨年度までにこれらのコアの古地磁気・岩石磁気測定を終え、相対古地磁気強度データが得られていた。今年度は、各コア間の精密対比とスタッキングを行い、過去300万年間の古地磁気強度標準変動曲線を完成させた。 西部赤道太平洋カロリン海盆の2本のコアについては、磁化率及びARMの変動を、南シナ海のODP Site 1143において報告されている、ミランコビッチ周期にチューニングされた酸素同位体比曲線と対比することにより、2万年程度の精度で年代を決定した。カロリン海盆では、古気候変動に伴う生物生産量の変動がもたらす希釈効果により、磁化率変動が酸素同位体比曲線と良い相関を示すことが知られている。南太平洋低緯度域のマニヒキ海台において採取された3本のコアについては、酸素同位体比の測定データ(PC4)、堆積物の色とARMの変化(PC2)、磁化率とARMの変化(PC5)をそれぞれSite 1143の酸素同位体比曲線と対比することにより年代を決定した。これらの年代を基準にスタッキングして得られた相対古地磁気強度変動パターンは、それぞれの海域内だけでなく、約7000km離れている2つの海域間においても、年代決定の誤差の範囲でよい一致を示した。 80〜300万年前の古地磁気強度において、ブルン期の標準曲線Sint-800と同様に、10〜20万年程度の間隔で繰り返し極小が存在する。極小の多くは、地磁気逆転境界及び今までに報告されたエクスカーションの年代と一致するように見える。このことは、地磁気変動においては、強度の急激な減少とそれに伴うエクスカーションが頻繁に起きていて、ブルン期が特別な時期ではないことを示唆する。ガウス-松山境界をはじめ、地磁気逆転境界において、いわゆるasymmetric sawtooth patternは見られなかった。
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[Publications] Yamazaki, T., Abdeldayem, A.L., Ikehara, K: "Rock-magnetic changes with reduction diagenesis in Japan Sea sediments and preservation of geomagnetic secular variation in inclination during the last 30,000 years"Earth Planets and Space. 55. 57-72 (2003)
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[Publications] Yamazaki, T., Seama, N., others: "Spreading process of the northern Mariana Trough : Rifting-spreading transition at 22N"Geochem.Geophys.Geosyst.. 4. (2003)
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[Publications] Yamazaki, T., Oda, H.: "Intensity-inclination correlation for long-term secular variation of the geomagnetic field and its relevance to persistent non-dipole components"AGU Monograph. (2004)
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[Publications] Oda, H., Torii, M.: "Sea-level change and remagnetization of continental shelf sediments off New Jersey (ODP Leg 174A) : magnetite and greigite diagenesis"Geophys.J.Int.. 156. 443-458 (2004)
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[Publications] Abdeldayem, A.L., Ikehara, K., Yamazaki, T.: "Flow path of the 1993 Hoddaido-Nansei-oki earthquake seismoturbidite, southern margin of the Japan sea north basin inferred from anisotropy of magnetic susceptibility"Ceophys.J.Int.. 157. 15-24 (2004)
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[Publications] 山崎俊嗣, 金松敏也, 小田啓邦: "地磁気変動と地球軌道要素及び気候変動との関連-地磁気ダイナモに対する核外エネルギー源の可能性"月刊地球. 号外40. 277-280 (2003)