2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540409
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Research Institution | Obirin Univ. |
Principal Investigator |
TAKAHASHI T (高橋 劭) 桜美林大学, コア教育センター, 教授 (20197742)
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Keywords | 豪雨機構 / 雷 / 巨大積乱雲 |
Research Abstract |
本研究はアジアモンスーン雨降水機構の理解向上を目的とし過去13年間アジアモンスーン域各地から飛揚した208台のVidesondeのデータを総括的に解析し、モンスーン雨降水機構の全体像を得ることにつとめた。又3次元雲モデルに詳細な微物理過程を導入、微物理過程の違いが降水量、雲の組織化、潜熱放出高度分布等に与える影響についての研究も行った。Videosondeデータ解析の結果、多くの新しい知見が得られた。主な結果は以下の通りである。1.モンスーン域各地はそれぞれ特有な雲システム・降水機構を保有している。2.降水機構に関しては3つの領域に大別される。それは"凍結氷"型の西太平洋、"Mix"型の多島域、"冷たい雨"型の中国内陸である。3.凍結氷型降水の領域では雪の数密度が極端に少なく、そこでの雷頻度の極端に少ないことに対応している。4.豪雨は降水セルの合流時に観測され、その時0℃層での雹急成長による強い水集積が知られた。3次元雲モデルでは雲物理過程が降水量、降水パターン、雲の組織化、潜熱放出高度分布に大きく影響を与えることが示され、熱帯でも雪が重要である事が示された。即ち雪があって、降水セルは風上側に発生した小降水セルを次々に合流させ大きく成長、長く持続し、降水量も最大となった。潜熱放出も高高度まで広がる。降水セル合流時、親雲セルからの霰が落下、合流する雲セルからの過冷却水滴を捕捉、0℃層で雹形成が急速に行はれ、大きな水集積が知られ、観測で知られた豪雨プロセスの物理過程の解明が可能となった。60kmの円環状降水セル群の形成、レインバンド内強降水域の移動、上層Vortex下の渦状雲バンド形成にも雪の存在が重要となる。又潜熱放出高度分布は雲の組織化過程にも大きく変動していた。論文は2編出版され、本研究のハイライトとしてイタリー・ボロニアで開催された第14回国際雲物理学会で招待講演として成果を発表した。
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