2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540410
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Research Institution | Toba National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
石田 邦光 鳥羽商船高等専門学校, 商船学科, 助教授 (80149939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
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Keywords | アイス・バンド / 南極海 / 季節海氷域 / 海氷融解 / 海氷密接度 / 海氷・海洋結合モデル / アルベドフィードバック |
Research Abstract |
南極昭和基地沖を観測対象に、昭和基地で受信された数多くのMOS-1/1b・MESSR画像データから、アイスバンドの分布およびスケール等の諸特性を抽出し、ECMWFにおける風のデータを使って、それらの特徴と風の関係を統計的な視点から調べた。その結果、アイスバンドの諸特性と風との間には高い相関関係が見られた。先ず、次の重要な2点を挙げることができる。・アイスバンドの形成およびバンドスケールの決定には、アイスバンドが形成されるまでの数日間の風の履歴が強く影響している。・アイスバンドの長軸方向は、数日間の風の履歴が強く影響しており、風向の右側70〜90度に分布する。そして、これらの結果は、アイスバンドの形成においてWave Radiation Theoryをある程度支持するものであるといえる。さらに、次の貴重な観測結果を得た。・アイスバンド域におけるバンドスケールの冬から夏にかけての減少は、冬から夏に向かって生じる氷盤の融解に伴う氷盤スケールの減少のほかに、同様の季節変化を示す風速の減少が関係していることが示唆された。・off-ice windの条件下で、バンドスケールは海氷域内部から氷縁に向かって減少していた。特にこの傾向は、バンド幅において顕著であった。 また、南極海のような季節海氷域では、海氷融解は大気より開水面(海洋混合層)に与えられる熱によってのみ行われるとする、簡略化した海氷・海洋結合モデルを提出した。このモデルは非線型の力学系モデルに帰着される。この系では、変数である海氷密接度(C)と混合層水温(T)の関係が初期値には関係なくある線に収束することが示され(CT-relationship)、東経25゜-45゜セクタにおける夏期観測のCT-plotをよく説明する。CT-plotは、海氷の融解が開水面を通して入ってくる熱によってのみ起こる簡単な海氷-海洋上層結合モデルによって説明できる。 この関係を使って、海氷海洋間のバルク熱交換係数の値(1.2×10-4mS-1)を求める、という新しい手法も提案した。モデルでは、開水面から入った熱のうち、どの程度融解に使われるかは海氷密接度の関数として決まる傾向を示しており、典型的な南極海の融解期ではほぼ0.7-0.9になる。さらに拡散や移流も考慮したモデルで南極の海氷後退をシミュレートし、開水面アルベドフィードバック効果によって、融解期の海氷の年々変動が生じていることを示唆した。
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Research Products
(5 results)