2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540411
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
藤部 文昭 気象庁気象研究所, 予報研究部, 主任研究官 (60343886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小司 禎教 気象庁気象研究所, 予報研究部・主任研究官 (70354446)
瀬古 弘 気象庁気象研究所, 予報研究部・主任研究官 (60354445)
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Keywords | 豪雨 / 降水システム / メソ降水系 / 首都圏 / 関東地方 |
Research Abstract |
23年間のアメダス資料を利用し,夏の午後に首都圏(関東平野)で発生した降水事例を抽出した。これに基づき,降水分布と地上風系との関係を統計的に調べた。北関東で降水がある場合,降水のない日に比べて平野中部の収束がやや大きいこと,夕方以降に北関東で北東風が吹くこと,その形成には降水に伴う冷却域からの外出流が寄与していることが示された。また,降水域が南関東に及ぶ場合には,午後の地上風系は鹿島灘から吹く東風と相模湾からの南寄りの風が東京付近で収束する状態になっていることが確認された。 1999年7月21日の豪雨(練馬豪雨)をもたらした降水システムの水蒸気分布とその時間変動を,国土地理院GPS連続観測網のデータを利用して解析した。衛星方向の電波経路に沿った水蒸気量(視線水蒸気量)を可降水量,水蒸気の1次勾配,非一様成分の3成分に分解し,各成分の変動と降水セルの移動・発達との関連を調べた。その結果,豪雨の発生する2時間以上前から,豪雨発生地点の周囲で可降水量が増加していたこと,増加域は地上風の収束域と一致していたこと,豪雨の発生した地域で豪雨発生の数十分前から水蒸気の非一様成分が増大していたことが分かった。非一様成分は,積乱雲の発達に伴う水蒸気の局所的変動を捕捉していたと考えられる。 上記の豪雨を数値モデルで再現できるよう,変分法を用いてGPS可降水量とドップラーレーダーの風データを同化した。その結果,10km格子のメソスケール数値モデルを用いて実際と同じ場所に降水域が再現できた。同化するデータの範囲を変えた感度実験により,豪雨をもたらした降水系の発生・維持には,南からの流入気塊の湿りと,関東平野内部の北寄りの風が重要な役割を果たしていることが分かった。これらの結果に基づき,非静力学モデルを利用した再現実験に着手した。 なお短時間豪雨の長期的変化傾向の解析は,気象庁におけるデータ整備を待って平成15年度に行うこととする。
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