2003 Fiscal Year Annual Research Report
広域テフラを用いた鮮新・更新統の磁気層序とテクトニクスの研究
Project/Area Number |
14540431
|
Research Institution | DOSHISHA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
林田 明 同志社大学, 理工学研究所, 教授 (30164974)
|
Keywords | 古地磁気学 / 広域テフラ / 第四紀 / ネオテクトニクス |
Research Abstract |
本州中央部の鮮新・更新世の磁気層序,およびネオテクトニクスに関連する資料を得ることを目的として,広域テフラの古地磁気学的研究を行なった。近年,房総半島や北陸,近畿・東海地方の鮮新・更新統から,主として中部地方を供給源とする広域火山灰層の存在が報告されるようになった。そこで本研究では,主としてオルドヴァイ・サブクロノゾーンの上限付近に当たる恵比須峠-福田火山灰を対象とし,残留磁化の測定を行なった。これによって,次の知見を得た。 1.大阪・京都,三重,新潟地域に分布する福田火山灰層の方位はほぼ等しく,偏角が約-170°であったのに対し,岐阜県高山地域の恵比須峠火砕堆積物の偏角は約-155°であった.このことから,高山地域と大阪・京都地域の間で,第四紀に有意な回転運動が起こった可能性が示唆された. 2.房総半島に分布する上総層群のKd38およびKd39火山灰層はともに逆極性の磁化を持ちオルドヴァイ・サブクロノゾーンの直上に位置することを確認した。その磁化方位には地点間での差異がみられ,房総半島の内部で小規模なブロックの回転運動が起こった可能性が示唆された。 3.金沢市東方の大桑層に挟まれるO2火山灰,滋賀県湖南地域に分布する古琵琶湖層群の五軒茶屋火山灰,南山城地域の大阪層群から発見された井手火山灰の残留磁化方位を検討し,恵比須峠-福田テフラと調和的な古地磁気方位を得た。 4.井手火山灰の一部に,交流消磁に対して安定で正極性を示す磁化成分が見出された。非履歴残留磁化と等温残留磁化の付加と消磁実験によって,正極性の磁化は二次的に形成された高保磁力の磁生鉱物によって担われていることが明らかになった。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 林田 明, 岩城啓美, 山下 透, 奥野博子, 檀原 徹: "京都府城陽市高塚林道に露出する普賢寺火山灰の古地磁気方位とフィッション・トラック年代"同志社大学理工学研究報告. 43. 106-113 (2002)
-
[Publications] H.Iwaki, A.Hayashida: "Paleomagnetism of Pleistocene widespread tephra deposits and its implication for tectonic rotation in central Japan"The Island Arc. 12. 46-60 (2003)