2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本の古生代オフィオライトと高圧型変成岩類(特に上越帯)の岩石学的研究
Project/Area Number |
14540447
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石渡 明 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (90184572)
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Keywords | 上越帯高圧型変成岩 / 美濃帯・丹波帯 / ピクライト・メイメチャイト / 超苦鉄質火山岩 / スーパープルーム / アラスカ型貫入岩体 / 夜久野オフィオライト / 東アジアの付加体・変成帯 |
Research Abstract |
平成16年度の主な調査研究実績は次のようである.(1)Ichiyama and Ishiwatari(2004)は京都府夜久野地域における夜久野オフィオライトを研究し,それが海台ではなく縁海の海洋地殻・マントルとして形成され,その後再度海嶺玄武岩マグマによる火成作用を被ったことを明らかにした.(2)Ishiwatari and Ichiyama(2004)はロシア沿海州,中国東北,サハリン,日本列島のジュラ紀付加体中に産する超苦鉄質溶岩・貫入岩(メイメチャイト,ピクライト,アラスカ型貫入岩体)が,沈み込み帯周辺における直径2,000km程度のジュラ紀スーパープルームの活動により形成されたこと,二畳紀後期など他の時代にも同様の活動があったことを提唱した.(3)Yoshida et al.(2004)は中国蘇魯超高庄変成帯に産するざくろ石かんらん岩の温度圧力経路の詳細を明らかにした.(4)Ichiyama and Ishiwatari(in press)は岐阜県根尾谷の美濃帯舟伏山石灰岩・緑色岩体に伴われるチャート中に,非常にHFSE(Ti, Nb, Ta, Zrなど)に富むピクライト(メイメチャイト)の岩床やハイアロクラスタイトを見出し,それがシベリア巨大火成岩区(LIP)のものに類似したペルム紀のスーパープルームに由来するHIMUマントル起源のマグマであることを明らかにした.(5)Ichiyama and Ishiwatari(Lithosに投稿中)は福井県小浜市の緑色岩・チャート中からHFSEに富む鉄ピクライトを発見し,HIMUマントル起源のマグマが舟伏山地域だけでなく美濃・丹波帯に広く分布している可能性を示すとともに,HIMUマントルにリサイクルした鉄玄武岩組成の海洋地殻物質が混入している可能性を論じた.(6)清水・石渡(地質学雑誌に投稿準備中)は上越帯の谷川岳山頂付近の露頭及び中新統粟沢層中の礫として産する古生代高圧型変成岩の岩石学を詳細に研究し,それが典型的な高圧型藍閃変成帯とやや低圧の変成帯との複合変成帯であった可能性を示した.本年度の研究により,日本と東アジア地域の付加体や変成帯に産するオフィオライト,緑色岩(特にその中の超苦鉄質火山岩)及び高圧型変成岩について以上のような成果が得られた.
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