2002 Fiscal Year Annual Research Report
誘電性化合物のナノスケール交互積層膜における巨視的誘電特性の研究
Project/Area Number |
14540466
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
花屋 実 群馬大学, 工学部, 助教授 (50228516)
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Keywords | 誘電性化合物 / 誘電物性 / 強誘電 / 反強誘電 / スパッタ / 薄膜 / チタン酸バリウム |
Research Abstract |
本研究では,誘電性化合物の誘電物性とナノスケール膜厚との関係を定量的に解明することを目的としている.このために,バルクでは互いに拮抗する強誘電性,反強誘電性を示す2つの化合物について,それぞれの膜厚をnmオーダーで精密に制御しながら交互に積層させ,試料全体としての誘電特性を交互積層時の強誘電,反強誘電性化合物それぞれの膜厚の関数として追跡し,巨視的誘電物性と相互作用領域サイズとの相関について定量的な知見を得ることを計画している. このために平成14年度は,典型的な強誘電性酸化物であるBaTiO_3について薄膜試料作成のためのスパッタ条件を検討するとともに,得られた薄膜試料の誘電特性を交流誘電率測定によって検討した.その結果,石英ガラス基板上に室温でスパッタした場合にはアモルファス薄膜が形成し,500℃以上の温度でアニールすることにより結晶化が進行することが明らかとなった.また,基板を加熱してスパッタを行った場合には,基板温度が400℃以上のときに結晶性薄膜の形成が見られ,400〜700℃の温度範囲で基板温度を変化させることで,10〜20nmの間で結晶粒径を制御できることを見出した.また,得られた薄膜試料について200〜300Kの温度範囲で交流誘電率測定を行った結果,結晶粒径の増大にともなって誘電率が大きくなり,結晶粒径が10nm以下の領域では,結晶粒径の増大とともに誘電率の温度依存性が大きくなることが明らかとなった.今後はさらに反強誘電性を示すPbZrO_3についてスパッタ法による薄膜形成条件を検討し,BaTiO_3とPbZrO_3とのナノスケール交互積層膜試料を作成して,誘電特性の検討を進める予定である.
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