2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン-アクセプター超分子系の超高速電子移動ダイナミクス
Project/Area Number |
14540481
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Research Institution | Institute for Laser Technology |
Principal Investigator |
谷口 誠治 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (00342725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 篤弘 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127886)
コスロビアン ハイク 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, 研究員 (70291036)
又賀 のぼる 財団法人レーザー技術総合研究所, レーザーバイオ科学研究チーム, チームリーダー (30029368)
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Keywords | フェムト秒蛍光ダイナミクス / ポルフィリン-電子アクセプター超分子 / 光誘起電子移動 / エネルギーギャップ依存性 / S_2蛍光 / 蛍光アップコンバージョン / 溶媒効果 |
Research Abstract |
亜鉛ポルフィリンにフタルイミド及びその誘導体を直接結合した超分子系におけるS_2励起状態からの光誘起電荷分離過程を、蛍光アップコンバージョン法(時間分機能約120fs)により観測した。トルエン、メチルシクロヘキサン中においてはこれまでの極性溶媒中(THF等)と同様、電荷分離速度はエネルギーギャップに対して明確なベル型を示したが、理論式と良い一致を示した極性溶媒中と異なり、無極性溶媒中では実験値の方がやや広いベル型の分布を示した。一方エタノール溶媒中では、normal regionにおける電荷分離過程は明確には観測されなかった。更に亜鉛ポルフィリン-1-メチルフタルイミド超分子について、エタノールをメチルシクロヘキサンに若干混合させた(1/10〜1/100v/v)溶媒中で観測を行い、各純溶媒に比べ電荷分離が促進される事が分かった。これらの結果は、超分子系とエタノールの水素結合相互作用がnormal regionでの電荷分離過程に影響を及ぼしている可能性を示している。次にS_2状態励起によるS_1蛍光の観測を行った。S_1蛍光の立ち上がり寿命をS_2蛍光減衰寿命と比較すると、THF中ではその寿命はほぼ対応する一方、トルエン中ではS_1蛍光の立ち上がり寿命はnormal region〜top regionにおいて150fs程度遅くなった。この結果の違いには電荷分離状態からS_1状態への逆電子移動過程が関与しており、電子移動に対する溶媒極性の効果を考慮すると、トルエン中では逆電子移動によるS_1状態の生成がやや遅れるためであると説明できる。更に電子アクセプターとしてキノンおよびその誘導体を用いた超分子系についてもS_2蛍光ダイナミクスの観測を行ったが電荷分離速度に大きな差はみられなかった。これはポルフィリン-アクセプター間の電子的相互作用がキノン系ではより大きくなっているためであると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Noboru Mataga: "Ultrafast Charge Separation from the S_2 Excited State of Directly Linked Porphyrin-Imide Dyads : First Unequivocal Observation of the Whole Bell-Shaped Energy-Gap Law and Its Solvent Dependencies"Journal of Physical Chemistry A. 106・51. 12191-12201 (2002)
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[Publications] Noboru Mataga: "Ultrafast Charge Separation and Radiationless Relaxation Processes from Higher Excited Electronic States of Directly Linked Porphyrin-Acceptor Dyads"Photochemical & Photobiological Sciences. (in press). (2003)