2002 Fiscal Year Annual Research Report
全電子MO計算によるK^+漏洩チャネルタンパク質のイオン選択および透過機構の研究
Project/Area Number |
14540482
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北浦 和夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 総括研究員 (30132723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古明地 勇人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計算科学研究部門, 主任研究員 (30357032)
上林 正巳 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 主任研究員 (70356559)
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Keywords | タンパク質の量子化学計算 / チャネルタンパク質 / フラグメント分子軌道法 / カリウムイオンの透過機構 / 大規模系の電子状態計算 |
Research Abstract |
本研究課題では、K^+漏洩チャネルタンパク質(約6,000原子)のフラグメント分子軌道(FMO)法による全電子量子化学計算を行い、タンパク質とイオンの相互作用とチャネル内でのイオン間相互作用を求め、チャネルタンパク質によるイオン選択とイオン透過機構を電子状態レベルで明らかにすることを目的とする。 平成14年度は、次年度に実施するカリウムイオン漏洩チャネルタンパク質全系の計算に向けての準備として、FMO法とそのプログラムをつぎのとおり拡張・改良した。 1.大規模系の計算を行うために、FMO計算プログラムを改良して10000原子系の計算を可能とした。また、FMO法をより高速化するための近似(環境静電ポテンシャル計算を点電荷近似で行う)を導入し、分子間相互作用系(分子性結晶)で精度の検証を行い、この近似が十分満足できることを検証した。 2.並列計算処理を高速化した。安価なPCクラスターで高効率並列計算が行えるようにプログラムを改良し、128台のPC (100baseTイーサーネット接続)で約80%の並列化効率を達成した。 3.FMO法で量子/古典融合法計算を可能とした。系をいくつかの領域に分けて、各領域に異なったレベルの波動関数と基底関数を用いることができる方法を開発するとともに、この一つのレベルとして力場を採用する(量子/古典融合法)ことを可能とした。 4.FMO法による分子動力学プログラムの開発を行い、テスト計算によりFMO法が分子動力学計算に適用できることを確認した。 5.予備計算として、チャネルタンパク質単量体(約1500原子系)とカリウムイオンの相互作用計算(HF/STO-3Gレベル)を行った。 以上、H14年度に予定していた方法論とプログラムの開発は順調に進み、残るは溶媒モデルの組み込みのみで、これが終了し次第、チャネルタンパク質の計算を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Komeiji, T.Nakano, K.Fukuzawa, Y.Ueno, Y.Inadomi, T.Nemoto, M.Uebayasi, D.G.Fedorov, K.Kitaura: "Fragment molecular orbital method : application to molecular dynamics simulation, "ab initio FMO-MD""Chem. Phys. Lett.. 372. 342-347 (2003)
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[Publications] K.Nagayoshi, K.Kitaura, S.Koseki, S.Re, K.Kobayashi, Y-K.Choe, S.Nagase: "Calculation of packing structure of methanol solid using ab initio lattice energy at the MP2 level"Chem. Phys. Lett.. 369. 597-607 (2003)