2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病治療薬として期待されるアミノシクリトール類の新しい不斉合成法の研究
Project/Area Number |
14540500
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中谷 宗弘 鹿児島大学, 理学部, 教授 (30041221)
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Keywords | アミノシクリトール類 / Diels-Alder反応 / N-Tosyl-3-hydroxy-2-pyridone / (±)-Validamine / (±)-2-Epivalidamine |
Research Abstract |
はじめに、塩基触媒不斉Diels-Alder(DA)反応を利用して、アミノシクリトール類の合成原料として有望な含窒素多置換シクロヘキセン誘導体の効率的な不斉合成法の開発を検討した。 まず、N-トシル-3-ヒドロキシ-2-ピリドンと光学活性ジエノフィルとの塩基触媒DA反応を調べた。種々のアミンを塩基触媒として反応を行ったところ、室温下24時間でほぼ定量的に目的の付加物を得た。生成物のジアステレオ選択性は27〜74%deで、かさ高いアミンを用いた場合に選択性の低下が認められた。さらに種々の光学活性アミン類を触媒として使用したところ、(+)-ジエノフィルとシンコニジンの組み合わせで最高91%deの選択性が得られた。 次に、既知の方法によって得られるラセミ体を出発原料とする合成を検討した。 合成の鍵となる立体選択的な酸素官能基導入のため、出発物質の官能基変換を行い、鍵中間体である4-アミノ-1-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-2-シクロヘキセンを合成した。これを用いて種々の条件下で酸化反応を行ったところ、エポキシ化は水酸基と同じ向きから、ジヒドロキシル化は逆向きから進行することが確認された。このことから、エポキシ化は水酸基との水素結合によって、またジヒドロキシル化は立体反発によって立体化学が制御されていることが示唆される。 得られた酸化中間体は、さらに官能基変換を経て、それぞれ(±)-バリダミンおよび(±)-2-エピバリダミンへと導かれた。これによって、予想通り本経路を利用してアミノシクリトール類の合成が可能であることを確認した。
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