2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病治療薬として期待されるアミノシクリトール類の新しい不斉合成法の研究
Project/Area Number |
14540500
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中谷 宗弘 鹿児島大学, 理学部, 教授 (30041221)
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Keywords | アミノシクリトール類 / Diels-Alder反応 / 全合成 / (+)-Epiepoformin / (-)-Phyllostine |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、アミノシクリトール類の合成原料として有望な含窒素多置換シクロヘキセン誘導体が、我々が開発した塩基触媒下での不斉Diels-Alder(DA)反応を用いることにより、室温24時間で最高91%deの選択性でほぼ定量的に得られることを見い出した。そして、合成法既知のラセミ体を出発原料として(±)-2-バリダミンおよび(±)-2-エピバリダミンを合成することにより、本経路を利用してアミノシクリトール類の合成が可能であることを示した。 そこで本年度は、3-ヒドロキシ-2-ピロンを出発原料とするDA反応から得られるキラルな付加物から導かれた6-ヒドロキシメチル-2-シクロヘキセン-1-オンの4-OTBS誘導体を鍵化合物として、(+)-エピエポホルミンと(-)-フィロスティンの合成に成功した。この合成においては、鍵中間体の2-位の二重結合のエポキシ化と2,3-位への炭素-炭素二重結合の導入がもっとも重要なステップであった。 トリトンBを用いた塩基性下での過酸化水素による酸化が、4-位のβ-OTBS基にもとづく立体制御によって立体特異的なβ-配向のエポキシドの合成へと導いた。また、環内二重結合の導入は2-位のヒドロキシメチル基を利用することにより達成された。すなわち、トシル化の後、塩基で脱トシル化することによりexo-オレフィンを得、次いで水素で活性化されたパラジウム-炭素を用いてendo-オレフィンに異性化させることにより(+)-エピエポホルミンを得た。一方、先に得たexo-オレフィンをジオールに変換した後、アセトニドとし、次いでTBS基の脱保護に続く二級アルコールの酸化は、目的物質(-)-フイロスティンを高収率で与えた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hiroaki Okamura, Hideki Shimizu, Naomi Yamashita, Tetsuo Iwagawa, Munehiro Nakatani: "Total synthesis of (+)-epiepoformin and (-)-phyllostine"Tetrahedron. 59. 10159-10164 (2003)