2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規ナノサイクリン・ナノロッドおよびナノチューブの合成、物性および機能開発
Project/Area Number |
14540507
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
山口 仁宏 近畿大学, 理工学部, 助教授 (30200637)
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Keywords | ヘテロアレーンサイクリン / 形状固定型分子 / 合成 / 分子機能 / 分子認識 / 発光特性 / 金属錯体 |
Research Abstract |
サイクリン類(三重結合を複数個有する環状化合物)は自己組織化・各種金属との錯体形成などの性質を示す。本研究課題では、先例のないベンゼン環・三重結合およびピリジン環を併せ持つ新規サイクリン類を合成し、それらの機能に関する研究を集中的に行うことを目的とした。また、それらをナノロッドおよびナノチューブへと展開し、その化学特性を明らかにすることを目的とした。 合成した新規サイクリン類の機能に関する研究を行ったところ、すべて発蛍光性を示すことが明らかとなった。また最も環員数の少ないサイクリンが特異的にSb(v)イオンを認識し、蛍光性の増大が観測された。従って、このサイクリンは、将来有毒なSb(v)イオンのセンサーとして利用可能であると期待される。さらに、驚くべきことに,最も環員数の大きなサイクリンの銅(II)錯体が母体のサイクリンよりも強い発光性を示した。遷移金属錯体は通常スピン-軌道相互作用により量子収率が低下するが,この場合には逆に増大している。現在のところその理由は明らかではないが,環内に2個存在する珍しい5配位状態の銅(II)の配位子が非常に嵩高いため、全体の剛直性がサイクリンそのものより銅(II)錯体の方が高く,励起一重項状態からの内部転換が抑えられたことが一因と考えられる。 このように、今回合成された新規サイクリン類は、発蛍光性を中心に多様な機能を発現する化合物であるが、X線結晶構造解析から非常に高い平面性を持つことが明らかとなっており、発光材料以外にも新規機能性材料創製の観点から魅力的な化合物群であると言える。 ピリジン環の代わりに窒素原子を導入したサイクリンの合成にも成功したので、今後、窒素原子の特性を利用してそれらの縮合を行い、ナノロッドおよびナノチューブを合成し、その化学特性を明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Yamaguchi, S.Kobayashi, S.Miyamura, Y.Okamoto, T.Wakamiya, Y.Matsubara, Z.Yoshida: "Synthesis and Light-emitting Characteristics of Doughnut-shape π-Electron Systems"Angewandte Chemie International Edition. 43(3). 366-369 (2004)
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[Publications] Y.Yamaguchi, Z.Yoshida: "Shape-persistency and Molecular Function in Heteromacrocycles : Creation of Heteroarenecyclynes and Arene-azaarenecyclynes"Chemistry - A European Journal. 9(22). 5430-5440 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi, S.Wakumoto, Y.Yamaguchi, T.Wakamiya, K.Sugimoto, Y.Matsubara, Z.Yoshida: "Synthesis and Properties of Novel Thiaarenecyclynes"Tetrahedron Letters. 44(9). 1807-1810 (2003)
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[Publications] S.Kobayashi, Y.Yamaguchi, T.Wakamiya, Y.Matsubara, K.Sugimoto, Z.Yoshida: "Shape-persistent Cyclyne-type Azamacrocycles : Synthesis, Unusual Light-emitting Characteristics, and Specific Recognition of The Sb(V)ion"Tetrahedron Letters. 44(7). 1469-1472 (2003)
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[Publications] Z.Yoshida, Y.Yamaguchi, Y.Matsubara: "Creation and Characteristic Properties of Hybrid Cyclynes in which Phenylene and Hetero-atom Groups are Alternately Inserted into the Single Bonds of Cyclooctatetralyne"Japan Society of the Promotion of Science 116 Committee Report. 55. 175-178 (2003)