2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子内相互作用を有す二核錯体を連結した新規電導性架橋型ポリマーの合成
Project/Area Number |
14540516
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
半田 真 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (70208700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春日 邦宣 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00032615)
杉森 保 富山医科薬価大学, 薬学部(化学), 助教授 (60263505)
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Keywords | ポリマー錯体 / 二核錯体 / 金属-金属結合 / フタロシアニン / 架橋配位子 / 磁性 / 電導性 / 液晶性 |
Research Abstract |
分子内に強い相互作用を有する二核錯体を架橋配位子で連結することにより、単核錯体を連結した場合とは異なる特徴を、磁性や伝導性において示すポリマー錯体を合成することを目的として研究を行ってきた。連結する二核錯体の違いにより、研究成果を以下の(1)、(2)の二つに分類することができる。 (1)金属-金属結合を有する二核陽イオン錯体[Ru_2^<II,III>(O_2CR)_4]^+とOCN^-、SCN^-およびSeCN^-の一価陰イオンを、反応させることによりポリマー錯体[Ru_2^<II,III>(O_2CR)_4X]_n (X=OCN^-、SCN^-、SeCN^-)を得た。Ru_2^<II,III>二核の両軸位でのOCN^-等の陰イオンの配位は高い直線性(剛直性)を、二核内のRに長鎖アルキル基を導入することにより柔軟性をポリマー錯体[Ru_2^<II,III>(O_2CR)_4X]_nに与えることができると考えられる。RにCH_3(CH_2)_n-(n=5〜8)の長鎖アルキルを用いて実験を行ったが、その剛直性と柔軟性から期待された液晶性の発現の確認には至らなかった。しかし、融点などの測定結果はアルキル鎖をさらに長くするなどの工夫によりこのタイプのポリマー錯体に液晶性を発現させることは可能であることも分かった。液晶性と磁性あるいは電導性との関係を系統的に調べることができるポリマー化合物として今後の発展が期待される。 (2)アミノ基を周辺に一個有する鋼(II)フタロシアニンを2,6-ジフォルミル-4-メチルフェノールと反応させることにより銅(II)二核フタロシアニン錯体を合成することができた。さらに2個の銅(II)イオンとの反応は、フェノール酸素が架橋原子と働き銅(II)四核錯体を形成することも分かった。今後、反応させるフォルミルフェノールを考慮することで、ポリマー錯体へと発展することの可能性も示された。そのようなポリマー化合物の磁性と電導性は興味ある性質を有するであろうことも分かった。
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