2002 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属錯体上の含窒素小分子の特性反応および変換反応
Project/Area Number |
14540520
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
長尾 宏隆 上智大学, 理工学部, 講師 (50211438)
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Keywords | ルテニウム / ポリピリジン / 立体化学 / ニトロシル / 窒素化合物 |
Research Abstract |
2-ピリジンカルボン酸イオン(pyca)あるいは2,2'-ビピリジン(bpy)を有するルテニウム錯体を用い金属-配位子間の結合、配位子間の相互作用の評価および配位圏での硝酸イオンの変換反応を検討した。 (1)[Ru(NO)X(pyca)_2]^<n+>型錯体では6種の幾何異性体が存在する。これらの幾何異性体の安定性はルテニウムイオンと配位子の相互作用および金属のd軌道を通しての配位子間の相互作用により決定すると考えた。電子的あるいは構造的特徴の異なるX配位子を用いて錯体を合成した。合成した錯体の性質を還元電位、ν(NO)、構造解析により評価し、いくつかの反応について検討した。これらの錯体の立体化学に着目すると、ニトロシル配位子の強いπ-電子吸引性が構造を決める要因として重要であることが分かった。化学的、電気化学的挙動および構造を系統的に比較、分類することによりその立体化学やニトロシル配位子による共存配位子の反応性の制御などが可能であることを示した。 (2)[RuXY(bpy)_2]^<n+>型錯体を用いて含窒素小分子化合物の変換について検討した。基質としてはアジ化物イオン、硝酸イオンを用い金属上で酸化状態の異なる含窒素小分子化合物への変換を行った。アジド配位子は高い反応性により酸、メチルカチオンとの反応で窒素分子を放出し、それぞれアンモニア、メチレンイミンあるいはモノメチルアミンに変換できることが分かった。硝酸イオンの変換は、金属錯体に配位させる段階が律速と考えていたが、比較的穏やかな環境下において反応が進行した。この反応では硝酸イオンの窒素原子が由来と考えられるニトロシル錯体の合成に成功した。
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[Publications] 長尾宏隆: "Cis-Trans Isomerization of {RuNO}^6-type Nitrosylruthenium Complexes Containing 2-Pyridinecarboxylate and Structural Characterization of μ-H_3O_2 Bridged Dinuclear Nitrosylruthenium Complex"Journal of Chemical Society, Dalton Transaction. 2158-2162 (2002)
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[Publications] 長尾宏隆: "Reactions of Acetonitrile Coordinated to Nitrosylruthenium Complex with H_2O or CH_3OH under Mild Conditions : Structural Characterization of Imido-type Complexes"Inorganic Chemistry. 41. 6267-6273 (2002)