2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14540524
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
松橋 博美 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (70192341)
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Keywords | アルゴン吸着 / 吸着熱 / 酸量 / 酸強度 / 固体超強酸 / ゼオライト |
Research Abstract |
アルゴンは化学的に不活性であるが、表面酸点と相互作用を持つことが知られている。この性質を利用して、表面酸点への吸着をラングミア型と仮定し、吸着等温線から吸着熱を算出したところ、妥当な値を得た。また、飽和吸着量は酸量と関係することが推測された。さらに、低温領域で測定された吸着熱はアルゴンの蒸発熱と一致し、その温度が細孔径と関係することを見いだした。 研究には、硫酸根担持ジルコニア(SZ)、硫酸根担持酸化スズ、タングステン酸担持ジルコニア、シリカ-アルミナ(SA)、数種のプロトン型ゼオライトを用いた。吸着温度を113〜273Kとし、一般的な容量法でArの吸着量を求めた。ラングミア式からは、飽和吸着量と吸着係数(b)が求められ、ln(b)を1/Tに対してプロットすると、グラフの傾きから吸着熱が求められる。 H-Yの場合、193K以下の直線の傾きから計算された吸着熱は-6.3 kJ mol^<-1>で、Arの蒸発熱の近い値となった。飽和吸着量も、この温度領域で急激に増加していた。他の試料でも同様の現象が観察され、この温度領域では毛管凝縮が起こっていることが示唆された。高温側の吸着熱は-15.6 kJ mol^<-1>であり、酸強度を反映していると考えられる。吸着熱はSZ>H-ZSM-5【approximately equal】H-MOR>H-Beta>H-Y>SAの序列で、SZで-26.4 kJ mol^<-1>、SAで-14.9 kJ mol^<-1>であった。この序列は、既知の酸強度の序列と一致した。高温領域でのArの飽和吸着量は、H-ZSM-5やH-MORではAl量とほぼ等量、H-YではAl量の8%となり、酸点の数に相当するものと考えられる。 以上の結果より、Arの吸着等温線より求めた吸着熱は酸強度を反映し、飽和吸着量は酸量と関係することが明となった。Ar吸着法は、酸強度・酸量が同時に求められる他、一般的な容量法で測定可能である、表面に化学的影響がない、金属を含んでいても測定可能であるなど、新規な表面性質評価法として有用である。
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