2004 Fiscal Year Annual Research Report
動脈壁構築蛋白質の自己組織化と機能:原始細胞型材料と生体弾性材料としての展開
Project/Area Number |
14540537
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Research Institution | KYUSHU KYORITSU UNINERSITY |
Principal Investigator |
甲斐原 梢 九州共立大学, 工学部, 教授 (90080564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 浩義 久留米大学, 医学部, 助教授 (10213175)
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Keywords | 弾性線維蛋白質 / コアセルベーション / 自己集合組織化 / 細胞外マトリックス / 動脈硬化 / 生体弾性機能材料 / 原始細胞モデル |
Research Abstract |
・弾性線維蛋白質-水系の自己集合組織化と機能発現 弾性線維蛋白質前駆体であるトロポエラスチンの細胞外間隙での自己集合組織化は、弾性線維蛋白質生合成過程のキーステップであり、基本的特性は弾性線維蛋白質-水系の温度依存性コアセルベーションで再現出来る。従って、弾性線維蛋白質エラスチン-水系の液-液2相分離を伴う自己集合組織化の詳細を明らかにする事で、弾性マトリックスの多様な機能発現の基礎となる構造形成に関する知見を得ると共に、弾性線維の構造崩壊を要因とする動脈硬化進行機序の解明や血管代替材料を始めとする生体弾性材料創製へと研究の展開が可能となる。水晶体蛋白質クリスタリンやリゾチームと全く異なり、エラスチンコアセルベート形成は上部臨界共溶温度型相図で規定される。基本的臨界特性を明らかし、金属塩化物添加による臨界過程の変化を明らかにした。金属塩化物混合水溶液中で進行する生体内過程では、荷電性アミノ酸残基への静電遮蔽効果による臨界領域型の時間経過の早い構造形成が進行している事が示唆される。 ・原始細胞モデルと細胞型機能性材料 弾性線維蛋白質エラスチンは胎生初期に現れ、アラニン、バリン、グリシン、プロリンでアミノ酸組成の80%以上を占め、言わば原始的蛋白質としての特性を有する。遷移金属を含む媒質中の化学進化実験で、エラスチン様化合物が生成される事も報告されている。エラスチンコアセルベートは銅やランタン等の特定の金属共存下で液滴状態が安定化したり、紐状の組織体を形成する事を示す結果を光散乱測定や位相差顕微鏡観察で確認した。均一水溶液から相分離により、球状液滴、紐状集合体、分離層形成を制御する因子を明らかにするには至っていないが、コアセルベート液滴は依然として有力な原始細胞モデルであり、外界からの刺激受容とそれに対する応答を示す生体系の最小単位としての細胞の機能を有する生体材料と見なす事が出来る。
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Research Products
(4 results)