PH勾配とゲル固定化結晶鋳型を用いたcmオーダー3次元コロイド単結晶の構築

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14540538
• Research Institution: Nagoya City University
• Principal Investigator: 山中 淳平 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80220424)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 米勢 政勝 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00080218)
• Keywords: コロイド結晶 / 単結晶 / pH勾配 / シリカコロイド / 微粒子 / フォトニック結晶 / 拡散 / 反応拡散系

Research Abstract

本研究では、荷電コロイド分散液中で高分子ゲルから塩基を徐放させる新規手法により、i)1辺が1cm以上の直(立)方体で、かつii)底面に平行な結晶面を持つ3次元コロイド単結晶をiii)迅速(1日以内)に構築する方法論を確立することを目的とし、平成14および15年度に研究を実施する。本年度の研究実績は概略次の通りである。1)試料のキャラクタリゼーション:直径110nmの市販のシリカ粒子/水分散液を十分脱塩精製したのち、電気伝導度およびpH滴定により、塩基(NaOH、ピリジン)およびその弱酸塩を添加した時の表面電荷とpHの関係を決定した。2)結晶化相図の決定:粒子濃度(3.2vol%)、添加塩濃度一定の条件下で、pHの関数(すなわち粒子表面電荷の関数)として相図を決定した。3)バルク状態での結晶の成長速度測定:相図をもとに実験条件を設定し、実体顕微鏡観察により、種々のpH条件で結晶の成長速度を測定した。4)塩基徐放時のpH勾配の評価:NaOHをはじめとする種々の塩基をゲルに含浸させたのちシリカコロイド試料中に置き、生じたpH勾配をpH指示薬の発色変化を通して分光光度法により測定(吸光度の高さ依存性を測定)した。また、1)で得たシリカ表面電荷のpH依存性をもとに計算機シミュレーションを行い、反応を伴う拡散の問題として、pHの時間変化を見積もった。得られた結果は実験とほぼ一致し、放出挙動の最適化に今後計算機シミュレーション法も援用したい。5)cmサイズ結晶の構築:以上の詳細な検討をもとに、現在の所、5mm角の単結晶を数日で再現性よく構築できることが可能となった。また、1cm角の巨大結晶も生成することが見出されたが、生成条件の詳細が現段階では明らかでない。検討を予定している鋳型の効果はまだ予備検討の段階であり、次年度に以上の成果と併せて検討することにより、最終目的とするcmサイズの3次元フォトニック結晶を再現性よく構築したい。