2003 Fiscal Year Annual Research Report
PH勾配とゲル固定化結晶鋳型を用いたcmオーダー3次元コロイド単結晶の構築
Project/Area Number |
14540538
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山中 淳平 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80220424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米勢 政勝 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00080218)
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Keywords | コロイド結晶 / 単結晶 / pH勾配 / シリカコロイド / 微粒子 / フォトニック結晶 / 拡散 / 反応拡散系 |
Research Abstract |
本研究では、pH変化により結晶化するシリカコロイド分散液中に対し、共存したゲルまたは外部環境から塩基を徐放させる新規手法により、i)1辺が1cm以上の直(立)方体で、かつii)底面に平行な結晶面を持つ3次元コロイド単結晶をiii)迅速(1日以内)に構築する方法論を確立することを目的とし、平成14および15年度に研究を実施した。14年度において既に、1)実験に用いる結晶化相図の決定、2)バルク状態での結晶の成長速度測定、3)塩基徐放時のpH勾配の評価など、本研究の目的であるcmサイズの大型結晶の一方向成長に関わる基礎的な知見・実験手法を確立した。またこれに基づき、塩基(弱塩基ピリジン)をゲル膜を介してリザーバーからシリカ分散液(粒子直径100nm,粒子濃度3.2vol%)に拡散させる手法により、5mm角の単結晶の構築に成功した。1cm角の巨大結晶も生成することが見出されたが、生成条件の詳細が明らかではなかった。15年度においては、反応拡散方程式に基づく計算機シミュレーション法を援用し、実験条件と比較しながら最適条件を詳細に検討した結果、本研究において最終目標としていた1cm角以上のコロイド単結晶を再現性よく得ることに成功した。また検討の過程において、1)一方向成長は弱塩基を用いた場合には生じるが、NaOHなどの強塩基はシリカ粒子と強く反応して拡散せず、結晶成長しないこと、2)NaHCO3などの、弱酸と強塩基の塩によっても一方向成長が生じること、などの知見が得られた。これらの知見および対応する計算機シミュレーション結果は、成長機構を解明する上で非常に有力な手がかりとなり、"自由に拡散し、かつシリカに電荷を与えうる化学種の拡散が結晶成長の駆動力となる"という、非常に一般的な結論に達した。なお、鋳型の効果についても検討したが、明瞭な効果は認められなかった。鋳型の存在なしでも大型結晶が得られたが、詳細な結晶構造決定などは実施しておらず、将来的に結晶配向の精密制御などが必要となった際に改めて鋳型効果を検討したい。
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Research Products
(1 results)