2002 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン分子を内包する単層カーボンナノチューブの電気化学的作製
Project/Area Number |
14540545
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
坂東 俊治 名城大学, 理工学部, 助教授 (20231540)
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Keywords | ナノチューブ / ピーポッド |
Research Abstract |
本年度は,電気化学法によるナノチューブ内空間への異種分子導入に対する基礎実験を行った.実験を遂行するにあたり,申請していポテンショ・ガルバノメーターを購入し,電解セルを作製した.実験に用いた異種分子としては,ナノチューブ内に気相反応法で取り込むことが出来るフラーレン類分子を選んだ.それらの分子をトルェンに溶かし,テトラメチルアンモニウム系の電解質を加え,その濃度に応じてフラーレン分子の還元電流の振る舞いを詳細に調べた.これらの実験は,ナノチューブにフラーレン分子をドーピングする際の電圧設定に対する指針を得る目的で行った.ドーピング用の開端単層ナノチューブはレーザー蒸発法を用い作製し,硝酸処理を施してその純度を90%以上に高めたものを,紙状に加工した後,3×5mm^2程度の大きさに裁断したものである.この試料を,メッシュ状の白金電極に圧着し,使用する.現在,ドーピング効率の測定,得られたフラーレン内包ナノチューブの構造学的な情報を,透過電子顕微鏡で定量化中である.さらに,ラマン散乱分光による定量化も計画し,電子顕微鏡によるミクロ構造解析,ラマン散乱による振動構造解析と合わせて精度の高い評価を目指す. 今回,電気化学的ドーピングを室温で実行したが,室温では,通常の拡散的な反応も起こり,電解によりドーピングされる割合と拡散によりドーピングされら割合とを区別することが出来るかどうかと言う疑問が新たに生じている.理科学的な見地からは,反応温度を下げ(0度以下),より精度の高い定量の必要性がある.
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