2002 Fiscal Year Annual Research Report
EDTAおよびその錯体の二相間分配平衡の熱力学的研究
Project/Area Number |
14540555
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 敬一 新潟大学, 理学部, 助教授 (60225935)
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Keywords | イオン対抽出 / エチレンジアミン四酢酸 / アルキルアンモニウム |
Research Abstract |
アルキルアンモニウムのうち、TOMA^+(trioctylmethylammonium;総炭素数25)を主成分とするカプリコートを用いて、溶媒として芳香族炭化水素であるベンゼン、キシレン、クロロベンゼンを、脂肪族炭化水素としてノルマルヘキサンを、含塩素脂肪族炭化水素として四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタンを用いて、種々のEDTA化学種の抽出挙動を検討した。その結果、いずれの溶媒を用いた場合でも、EDTAの化学種のうち陰イオンとしての電荷が大きくなるほど有機相への抽出性が高く、edta^<4->は芳香族炭化水素を溶媒とすると、ほぼ定量的に有機相へ抽出が可能であることがわかった。EDTA化学種の負電荷が大きいほど親水性が高いことに対して、多くのアルキルアンモニウムと会合するため、結果として生じるイオン対の疎水性が高くなる効果の方が勝っているためと考えられる。 アルキルアンモニウムとして分子中の炭素鎖の長さが異なるDLDMA^+(dilauryldimethylammonium;総炭素数26)を、分子中の炭素鎖の長さが全て等しいTHA^+(tetrahexylammonium;総炭素数24)、TOA^+(tetraoctylammonium;総炭素数32)を用いて、アンモニウムイオンの構造の違いによる抽出への影響を調べたところ、全ての炭素鎖の長さが等しいTHA^+,TOA^+では抽出性が低く、TOMA+で最も抽出されやすかったedta^<4->であってもほとんど有機相へ抽出されないことがわかった。特にTOA^+は炭素数が最も多く、生成するイオン対の疎水性も最も高いと考えられるにもかかわらず抽出性が低いことから、EDTAのような複雑な構造を有する陰イオンのイオン対抽出においては、イオン対生成における立体的効果が重要であることが示唆された。
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